応募書類の受付は4月26日13時に締め切りました。
書類の受諾状況は、5月中旬頃に応募者登録サイトに表示されます。
"Application forms were closed at 13:00 on 26 April.
The acceptance status of documents will be displayed on the registration website around mid-May."
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(中略:昔に比べ病院の勤務医が忙しくなってきているという話題を受け)
(楯谷) 今はどこの病院を受診するかっていうのは、患者さんの判断に委ねられているわけですよね。 で、 やっぱり患者さんの心理としては、 何か自分に不具合が生じたときにこれを確実に治してほしいと思えば、 開業の先生よりもいろいろ機械が揃ってていざとなったらぱっと手術もしてくれそうな総合病院を選ぶ傾向にあるんですよ。
(司会) 病院を選択するということに関して、例えば厚労省などの機関で、 何とか変えていこうといった動きはあるんですか?
(後藤) 例えば、大病院だったら、直接大病院に紹介状なしで受診するときに特定療養費っていうプラスアルファの価格を設定してもいいっていうことにしています。需要の抑制を目的としているわけですけど、例えば 4,5 千円だったら、まあ払ってしまえ、っていう人もいるわけですね。 結局、日本の場合は自由がベースで、 ある意味経済学的なんですよね。価格を上げれば需要が下がるだろう、 そこは合理的に考えるだろ、って。でも実際は、命がかかると思うと実はそんなに合理的じゃないので、やはり多少規制をかけないといけないんじゃないかなあと。ヨーロッパなどだと、最初は診療所に行かないといけないっていうルートを決めてしまっている。だからほんとに自由なのは、 先進国では日本だけじゃないですかね。
(司会) その方がむしろ開業医にとっても、まず患者が自分のところに来てくれるからいいと。そして、総合病院の方でも時間にゆとりができて、 非常に都合がいいような気が……。
(後藤) しますけどもねえ。どうですか?
(坂本) 僕は反対ですね。反対というか、やっぱり GP とかそういうシステムでも、すごい優秀な人だったらいいですよ。でも、普通はそんな優秀じゃないでしょ。例えば子供のことは、実はお母さんの方が理解してたりするし。お母さんがここに連れて行って、問題ないと言われた。だけど、やっぱり心配だからこっち行った。それで問題が見つかった、っていうのが、 いっぱいあると思うんです。そういうのが完全に遮断されるのは、ちょっとまずいと思う。あと、ブータンに行って感じるのは、日本がほんと有難いのは専門医がいっぱいいて、そこに自由に行けること。自分の子供のこととか考えたら、小児科の専門医に診てもらいたいと思うのは、自然なことだし。それを無理にシャットアウトするのは、よくないんじゃないかと。
(楯谷) 患者さん側からしたら、断然フリーアクセスの方がいいですよ。
(後藤) 患者さん側からしたら、そうでしょうね。
(楯谷) 日本人のお医者さん家族が海外に行ってその地の医療を受けると、日本との差をすごく感じるみたいで。一例をあげたら、皮膚科で診てほしいときも、まず総合医のとこに行くわけですね。そして皮膚科の予約が取れたのが1か月後であると。 そういう世界なんですよ。だからやっぱり、日本のほうがそれは有難いんですけど、それだけのコストがかかってるんでしょうね。
(後藤) コストというのは多分、医療費だけではなくて、お医者さんの過労……。
(坂本) それでもってますよね。
(後藤) いろんな意味でコストをかけている現状は、どうかなって思うんですよね。急には変えられないですけど。患者さんが決めるのと、GP が決めるのと、平均的にどちらがよいかっていうと、僕は GP が決めた方がいいのかなって思いますねえ。日本はあまりにフリーアクセスなので、病院と診療所の間を移動する人が多すぎて、診療経路が把握できないんですよね。何が無駄かもはっきりしないし、ある人がどの薬をどれくらい飲んでいるかとかそういう情報さえも把握できないから、質も評価できないシステムになってしまっていて。それはさすがにまずいと思いますね。
(楯谷) 医療費の無駄は、一つには患者さん側のそういう行動を抑制できてないことによるものですよね。