大谷 由香 特定准教授

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所属期第14期(任期:2024年4月~)
グローバル型 -
専門東アジア仏教学, 戒律解釈史
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研究内容中世日本仏教における戒律実践の実態とその根拠となる思想の考察
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受入先部署人文科学研究所
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直前所属龍谷大学
紀元前5世紀頃、インドに活躍した仏教の開祖・釈尊は、家庭も仕事も捨てた出家修行者たちが共同生活を営むためのルール(律)を作成しました。さらに釈尊の死後500年を過ぎた頃に勃興した大乗仏教ムーブメントの中で、慈悲に生きた釈尊の前世の姿に注目が集まり、前世の彼と同じように生きる指針として、菩薩戒が提唱されます。それらが示された仏典は東アジアで漢訳され、仏教徒が遵守すべき「戒律」として弘まっていきました。ブッダが定めた「戒律」は改変厳禁です。しかし時代も土地も文化も異なる東アジアの国々で、仏典が成立した時代のインドと同じ生活様式を再現することは不可能です。人間としての営みと宗教上の理想との葛藤の中から導き出された仏教徒としての生き方は、戒律の注釈という形で残されています。私はこれらの戒律注釈文献を読み解くことで、その時代・地域での仏教実践のあり方を明らかにしたいと考えています。本研究では、特に中世の日本の僧侶たちに焦点を当て、「破戒」と呼ばれてきた行為の背景にある戒律理解を探ります。