浦井 聡 特定助教
  • 所属期
    第15期(任期:2025年4月~)
    グローバル型
  • 専門
    日本哲学、宗教哲学
  • 研究内容
    <もうひとつの京都学派哲学史>の構築とその現代的意義の解明
  • 受入先部署
    文学研究科
  • 直前所属
    北海道大学 文学研究院

私の専門は京都学派の哲学です。京都学派(哲学)とは、1910年代から徐々に形成され、1930年頃から40年代前半にかけて興隆した京都帝国大学を中心とする哲学者のネットワークです。この学派は西田幾多郎と田辺元がその基礎を築いたとされています。京都学派研究と言えば西田研究が圧倒的多数なのですが、私はこれまで田辺哲学を中心に研究してきました。特に、田辺哲学の根幹である社会存在論を切り口として京都学派研究を進めてきた点に私の研究の特色があります。

京都学派は主に西田が切り拓いた〈無の哲学〉の系譜として知られています。これは確かにこの学派の最大の特徴をなすものですが、それだけではこの学派全体は説明できません。従来の研究の余白を埋めるために私が着目するのは、田辺が自身の社会存在論を1934年に世に問うた後、この学派の中心的な主題となった〈社会の哲学〉の系譜です。田辺の弟子だけでなく西田までもが田辺の社会存在論の影響を受けて自身の社会論を構築しました。本研究はこの系譜を掘り起こし、その現代の哲学研究への貢献を探るものです。