宇賀神 知紀 特定助教非現職
  • 所属期
    第10期(任期:2019年10月~)
    グローバル型
  • 専門
    理論物理学,特に素粒子論
  • 研究内容
    量子情報理論の基礎物理学への応用,特に相対エントロピーを用いたアプローチ
  • 受入先部署
    基礎物理学研究所
  • 直前所属
    ペンシルベニア大学

重力は我々にとって最も身近な物理現象の一つです。宇宙スケールでの重力は,時空構造の歪みとして理解されます(アインシュタインの一般相対性理論)。しかし素粒子サイズの世界において重力を有効に記述する法則(量子重力理論)はいまだに発見されていません。この量子重力理論に到達するための手がかりとして期待されているのがブラックホールがその事象の地平面の面積に比例するエントロピーを持つという事実です。
この事実はミクロな世界における情報(量子情報)の性質からマクロな世界の幾何学的な性質が創発することを端的に示唆しています。私は量子情報理論における相対エントロピーという量に注目し,これを量子重力理論の一つの定式化と考えられているホログラフィー原理(特にその具体例であるAdS/CFT対応)に対して応用することで,重力および時空の創発のメカニズムを解明することに挑戦しています。また相対エントロピーの他の理論物理の分野(物性物理,非平衡物理)への応用にも興味を持っています。

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