大下 翔誉 特定助教
  • 所属期
    第13期(任期:2023年4月~)
    グローバル型
  • 専門
    重力, 宇宙論, 天体物理学(理論)
  • 研究内容
    ブラックホールの揺らぎに関する理論研究 -ブラックホール振動による重力理論の高精度検証を目指して-
  • 受入先部署
    基礎物理学研究所
  • 直前所属
    理化学研究所 数理創造プログラム

ブラックホールはこの宇宙で最もミステリアスな天体の一つだろう。その強い重力により、たとえ光すらブラックホール内側から外へ逃げ出すことはできない。強重力以外のブラックホールの興味深い特徴として、その「単純さ」も挙げられる。例えば、地球を完全に特徴づけるためには、大量の情報が必要となる。地球の質量、自転の速さ、温度分布、表面の凹凸などを指定する必要があるだろう。ところが、天体物理学におけるブラックホールは、質量と自転の速さの2つだけでその時空構造が完全に決まることが、一般相対性理論によって示される。このブラックホールの単純さは、重力を強重力環境下で検証する上で極めて有用となる。一般相対性理論は地球や太陽系などの弱重力環境で生じる現象を説明し、成功を収めてきた。しかし、これがブラックホール極近傍や宇宙誕生の直後といった極限重力環境でも成立するかを知るには、より厳しい検証を要する。白眉プロジェクトにおいて、私はブラックホールの揺らぎに潜む普遍性を理論的に明らかにし、その揺らぎから生じる重力波シグナルを予言することで、極限重力の物理の理解やその新たな検証法構築に挑む。

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