西田 愛 特定准教授

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所属期第11期(任期:2020年10月~)
グローバル型 -
専門古代チベット史,チベット文化史
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研究内容西チベットにおける古チベット語岩石碑文の総合的研究
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受入先部署人文科学研究所
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直前所属神戸市外国語大学 外国学研究所
20世紀の初頭に敦煌石窟をはじめとする中央アジアの諸遺跡から出土した古チベット語文献は、古代チベット帝国(7~9世紀)の社会状況を正確かつ具体的に伝えてくれる第一次史料であり、チベット文化の最古層を知る貴重な手段でもあります。私はこれまで、これらの出土資料の中でも占いに関する文献を中心に研究を進めてきました。そして、古文書中の占いが如何にして現代社会へと継承されているのかということにも関心を持ち、チベット文化圏の各地へ足を運んできました。その一環として訪れた西チベットのラダック地方には、短い古チベット語刻文のある岩石がインダス川沿いの複数地点に散在することが知られています。しかし驚くべきことに、現地ではこれらの刻文を持つ岩石が建材利用の目的で破砕されつつあります。そこで、未だ本格的な調査が行われていない岩石碑文について直ちに記録を開始する必要があると考えるに至りました。今まさに失われつつある岩石碑文について総合的な研究に取り組み、その歴史的意義を明らかにすることが本研究の目的です。