木下 実紀 特定助教
  • 所属期
    第14期(任期:2024年4月~)
    グローバル型
  • 専門
    ペルシア文学、イラン地域研究
  • 研究内容
    イラン人ディアスポラによる文学の体系的研究
  • 受入先部署
    文学研究科
  • 直前所属
    大阪大学人文学研究科

イランは、20 世紀後半以降の政治的不遇によって欧米諸国との対立ばかりに注目が集まり、その歴史的・文化的重層性には目を向けられる機会は多くありません。しかし、イランの公用語であるペルシア語は長い歴史を持ち、イランの人々は「詩の民」としてペルシア文学を誇っています。私は、このような背景を持つペルシア文学が西欧文学と出会い、現代文学を開花させるに至った「翻訳」や「翻案」という営為に注目し、主に19世紀末から20世紀初頭にかけての作品を分析してきました。この時代は、海外との往来が盛んになった時代であったため、厳しい検閲がなされていた国内を離れ自由な創作活動の場を求めた知識人や文人が多く存在しました。 イラン現代文学は、このようにイラン国外に拠点を置いた/置いている知識人や作家によって支えられている側面があり、現代では移民2世以降の作家も登場し、新たな展開を見せています。私はこのような状況に着目し、19 世紀末から今日にかけてのイラン人ディアスポラによる文学の様相を体系的に捉えることを目指しています。