| ENGLISH |
(NB) それぞれの文化がそれぞれの文化に根ざした表現をするというのがいいと思うね。だけど、伝達の効率というものも考えてしまう。たとえば「もったいない」といえば、英語に翻訳できないわけではないけど、ちょっと説明的になって長くなる。そうすると直接的なつながりはなくなるよね。でも、それが文化というものだから。エスペラントの教材をみていて思ったのは、エスペラントがいかに簡単であって、語彙を組み合わせて自由に表現できるかということ。全部をちゃんと学んだわけではないけど、想像はつきます。だけど僕たちが言葉を学んで使う時は、むしろ逆で、簡単さとか効率とかは考えないような気がするんだよね
(BM) そうですね
(NB) 「こうは言わない」とか「これは間違い」とか、文法といえば間違いばかり指摘してくる
(BM) 規範的ですね
(NB) そう、規範的。言語は間違いを指摘されつづけるものなんだよ。言葉とどう向き合っていくかという考え方が、とても違う。僕にとっては、言葉を学ぶというのはいつも話し言葉であって、書き言葉ではないから。僕たちが学ぶ第一言語というのは音声言語なんだよ。何か単語をきいて、それが二つ三つと増えていって、ゲームや夢みたいに、何かを言うのにいくつまで組み合わせられるかを考えてみたりする。だけど学校で言葉を学ぶ時は逆だよね。みんな英語を学ぶために色々とつめこんむんだけど、その中身は文法的に間違いだとか何とかいうものばかりで
(BM) 新しい言葉をうまく習得する秘訣はいろいろとあります。エスペラントも一つの選択肢ですね。なぜなら、エスペラントには一定の規則しかなくて、規範的な言い方はないので
(NB) これは文法的、これは非文法的、というのがない?
(HK) もちろんエスペラントにも文法的なことは色々とあるし、700 頁をこえる文法書までありますよ。だけど根幹にあたる文法はザメンホフがさだめたいわゆる十六箇条文法です。それに反しないかぎりは、何をどう表現してもいいですよ
(BM) たとえばインドネシア語なんかは最も簡単な言語だと聞かされましたけど、動詞を勉強すると、少なくとも私にはとてもそうは思えない。エスペラントで面白いのは、論理を尊重しようとしているところですね。新しい単語をどんどん作っても、論理的であるか想定しやすければ他の人にも理解可能なんです
(HK) そう、母語話者の直感というようなものではなくて、論理をいつも尊重するということが重要ですね
(BM) たとえば「箸」みたいな単語は分解して、「食べる・棒・小さい・名詞」みたいにします。でも、それはそれで問題にはなる。なぜなら、どんな言語でも、どんな文化でも、「箸」を使うところでは、専用の短い単語をつかうので。「お箸」だったり「faai3zi2」*9だったり。いくら論理的とはいっても、「食べる・棒・小さい・名詞」と言うのはとても長いので、必ずしも簡単とは言えないでしょう。だからエスペラントの中にも二つの陣営があって、一方は、いわゆる「よい言語」派ですね。つまり、長くても論理的な単語を使おうという一派。もう一方は「自然派」ですね。つまり大多数の人が使う単語を使ってしまおうという。自然言語での慣用的な言い回しをなぞることが多いですけど
(TS) だから日本語をエスペラント化して「ハシーオイ」*10とか
(BM) 中国人は「クワィジーオイ」とか「ファイジーオイ」といったり。もちろん、こういう場合には、ある意味では、エスペラントの「食べる・棒・小さい・名詞」はとても中立的になりますよ。中国的でも韓国的でも日本的でもなくて、ヨーロッパ的だから
(TS) エスペラントはヨーロッパ的なのでそんなに熱心にはなれないんだけど、エスペランチストは少なくとも中立であろうと努力はしているので好きだよ。エスペラント世界大会でエスペラント文法のヨーロッパ性について報告したことがあるんだけど、最後には「みなさんのことが大好きです」と言っといた
(HK) えーと、盛り上がってきたんだけど、問題は誰かが文字起こししないといけない
(TS) 誰か ?あなたでしょ
(一同) (笑)
(HK) 日本語、英語、エスペラント。後でご協力お願いします。ではまたいつかどこかで
(TS) もうたくさんだよ!
ビルマでカドゥー人の村にあった
ビルマ文字とカドゥー文字による看板。
カドゥー文字は近年つくりだされた(HK)。