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(佐藤) でもリスクを小さくするというところを加味した最適化がされているかもしれないですね。
(宮﨑) そういう意味では、そう。
(司会) 何をもって最適化っていうのが、結構難しいですね。宮﨑先生のおっしゃるエネルギーの最適化という意味では、もっと省エネしながら成長できるっていう話もあると思いますし、佐藤先生の意見ではリスクを考えたうえでは最適かもしれないっていう立場もあると思うんですけど。
(宮﨑) その評価の軸をどうやって決めるかっていう…。
(小川) この場合、立場が二つあるんですよね。
(佐藤) 数理最適化の分野では多目的最適化というものがありまして。つまり目的が複数個あるような。今おっしゃっていただいたような話は多分そうですし、典型的なものとしては、ポートフォリオの最適化問題というのが金融工学の分野であるんですけれども。分散投資をして、リスクを小さくしつつなるべくもうけたいっていうふうに考えるのは、自然な発想ですよね。つまり、期待リターンが大きい投資対象があるからといってそこに一点投資すると、それが悪い方向にいってしまったときは、もう大変なことになるわけで。
(一同) (笑)
(佐藤) リターンも最大にして、リスクも最小にするっていうことは、同時には達成できないトレードオフの関係にあるのが普通ですので、そういう問題に対してどうアプローチするかっていうことは、数理最適化のほうでもありますね。
(宮﨑) 最適化したいという意志がないと。
(佐藤) そうなんですよね。今お話を聞いていても、数理最適化に基づく問題解決のプロセスっていうのは、人間が解きたい問題を持っていて、それを数理的にモデル化して、その解を見て現実の問題に当てはめてみるというものですけれども、先ほどのチョウチョの話だったら、何か最適化したいものが意識されているわけではないと思うんですよね。
(宮﨑) だから最適化されたものって前提で生物の問題を解いてしまうのは危険じゃないかなあと。