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(司会) 人文学の話題に関連して、最近世間で言われている、いわゆる「文系廃止論」というものがありますが。
(花田) 完全にどの大学からもなくすってわけじゃないんでしょ?
(司会) でも徐々に攻め込まれるっていう感覚はありますよね。
(江間) 国公立大学は理系に特化しちゃって、文系とか芸術関係は私大がやりましょうというものですよね。
(藤井) その学問が大事かどうかを問うてるんではなくて、国はもう維持できませんよっていう話なんでしょ、平たく言うと(笑)。
(江間) お金をどこに注ぐかって言われて、“理系に注ぎます”っていうような流れですよ。
(花田) 文系を廃止しなかった場合は、 “文と理の両方を削っていきますよ”と。 そういうことでしょ。
(江間) それって、脅し?(笑)。
(一同) (笑)
(花田) 文系学問を私大で十分にやっていけるんならいいのかもしれないけど、 この点はどうなんでしょうね。
(司会) 大学改革に関する政府の政策はいくつかありますけど、そのなかで大きいものの一つは、「ミッション再定義」 というものですね。各大学に己の強みをどう活かすか、今後5年なり 10 年なりのプランを提出しなさいと求められている。
(花田) 文系の学生そのものがいなくなっても、一般教養では文系の授業はできるんですか?
(藤井) 教養科目まで廃止するつもりなのか、研究をしなくていいということなのかということですよね? 研究ができなくなった場合でも、おそらく、 教養の授業はできるでしょうね。
(花田) 理系だけにしちゃうと、まぁ一般的教養の授業だけでいいから、教員数も減らせるということなんですかね。
(藤井) そういうことなんでしょうね。 しかし、一方で“教養やろう”っていう動きがありますよね。それには文系が不可欠でしょう。
(江間) 現在いろいろな科学技術に関する問題が出てきているから、科学技術の研究者も文科系の素養が必要だとする考えもある。そういうところとの整合性はどうなんだろうなと思いますね。
(司会) 文系廃止論者側も一枚岩でなくて。
(一同) (笑)
(藤井) 2期の西村周浩さんと話してて、 “そもそも文学部ってそんな金かかってないよね”っていう話題になったんですよ。人件費はかかるけど、あとは本買うくらいなんで、それは大学全体の財務を圧迫するほどではないでしょう。 そこをあえて削んなきゃいけないっていう意味は、結局財政的な問題ではなく日本における大学の存在意義っていうか、要するに理系さえあれば、それでもう十分大学なんだっていうことですよ。文系廃止論はお金の話ではないなという気がします。