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(司会) 宇宙関係の専門分野のお話をいろいろ聞いたところで・・・コアな話に行きますか。 単刀直入に、宇宙人っているんですか?
(長尾) 人間レベルの生命集団が、宇宙のどっかにいるって思うか、いないって思うか。
(司会) 実際のところどのぐらい可能性があるのかっていうのは、みんな気になってる話だと思いますね。
(小林) 人間レベルは分かりませんが、生命はまあいるでしょうねえ。どっかに、そりゃあ。
(長尾) ぼくはそう思ってますけど、他の人はどう思います?
(司会) 生命、の定義は何ですか?
(小林) ああ、そこから入ると難しい・・・。
(長尾) いや、なんていうかあんまり難しい意味じゃなくて、アメーバとか、ゾウリムシとか・・・。
(小林) バクテリアでも微生物でも、下等な生物でよければそれはまあ、当然いるでしょう。
(信川) これだけ広いから、人間レベルもいるんじゃないかと思いますけどね。
(長尾) ぼくもそう思いますけど。
(司会) いま、この瞬間にいる?
(長尾) いると思いますね。でも、宇宙のどっかに、ですよ。
(司会) 1000 光年以内、とか・・・。
(長尾) あ、そういうふうに区切りだすと途端に話が変わってきますね。
(村主) ぼくはそういう範囲でもいると思う派なんだけど、ひとつ自慢に思っていいのは、多分この 1000 光年とかこの銀河内とかでは、 我々が一番、今この瞬間には進歩している文明だと思う。
(司会) 空間的だけじゃなく時間的に見ても、 文明が存在する可能性は低いんじゃないですか。
(長尾) うん。たとえば、1 万年ぐらいしか存在しないとするじゃないですか、知的な生命体が。そうすると、まあ、地球ができてまあ簡単に 50 億年くらいとすると、50 億年分の 1 万って言ったら、50 万分の 1 ですよね。
(村主) そういうの、ドレイクの式というやつですよね。
(長尾) 仮に非常に悲観的に、我々の銀河の中に1回しか人間レベルの文明は登場しなくて、 それは1万年しかないって思っても、銀河は宇宙に 10 の 10 乗以上あるから、宇宙全体見たらワンサカ、みたいな気はするね。
(信川) そうですね。宇宙はすごく大きくて、 恒星だけで考えても、10 の 11 乗の、さらに 10 の 11 乗くらいあるから・・・。
(司会) 文明が存続する時間が短いことよりも、とにかく星の数が多いことが効いてくるんですね。
(長尾) 桁が違いますよね。
(信川) 人間がいることをどれだけ奇跡だと思うか。
(村主) そうなると、宇宙人は何でここに来ないのかなぁという・・・。
(長尾) 他の銀河から来るのは大変だもんねぇ。
(村主) なんか信号とかないのかなぁ、というのも気になる。我々より少し進んだ文明だったら、我々のことぐらいは気づいてるのかなあ・・・。
(司会) 1 万年ぐらいのスパンでしか存在できないんだったら、5000 光年以上離れたところとは交信できないですよね?
(長尾) まあ往復って意味では。
(村主) 文明の行先ってどうなのか、すごく興味があって。生命は一度生まれるとあらゆるニッチを埋めていくものだから、破壊的な大量絶滅があっても誰かが生き残ってきたわけですよね。悲観的な考え方をすれば、都市文明は 1 万年も存続しないかもしれないけど、一方で、 これだけ多様な生き方をしている人類が全滅なんかするのかなぁと。まあ、おごりと言えばそうなんだけども・・・。
(長尾) 恐竜は絶滅しましたね。
(村主) 恐竜は絶滅しましたねぇ。
(司会) あと、知的生物がいても我々のような文明があるとは限らないですよね。たとえばずっと狩猟採集時代のまま 1 万年、どころか何千万年続いてる星があるかもしれない。
(長尾) そのほうが長続きしそうな気がするなぁ。
(信川) うん、そうですね。
(村主) 文明の基準って、たとえば電磁波を通信に使えるとか・・・?
(信川) 宇宙人がいたとしても通信手段、コミュニケーションの手段が違う可能性はある。
(村主) せやな。頭の中で考えていることを電光掲示板に出せるような能力とか。
(司会) 告白するときも、好きです、って表示されるだけ。(一同)(笑)
(長尾) 情緒が!情緒がない!
(小林) すべてがばれるのは嫌だなぁ・・・。
(村主) 人類は 1 万年前と比べるとずいぶんと違った暮らしをしているので、あと 1 万年すると、たとえば、なんか・・・実体のない電磁波だけの存在とかになっている、あるいは 4 つの力以外の力をどんどん見つけて、我々には知覚できないような存在へとシフトしていくのかな・・・。
(司会) 『2001 年宇宙の旅』みたいな。
(信川) それは変わりすぎじゃない?
(村主) 変わりすぎやけど・・・。
(小林) なんか根本的に物理法則が変わってるような気がする。
(村主) 我々が知ってる物理法則を物理の全体だと思ってはいけないよ。
(長尾) うーん。1 万年後に人類がいる可能性のほうが低い気がするけどなぁ。
(司会) それどころか我々が生きてる間、文明が続くのかって・・・。
(信川) 50 年、100 年のスパンで、人類が大丈夫かっていう。
(長尾) ま、一人ぐらい生き残ってるんじゃないかな。
(信川) 一人ぐらいは。山奥でとか。
(司会) 我々が生きてる間に宇宙人と交信できる、と思う方はいらっしゃいますか ?
(長尾) ないと思う。
(信川) それはないんじゃないですか。
(小林) それはないでしょうね。
(司会) 村主さんは?
(村主) ちょっと奇跡か魔法でもない限り。
(司会) 一致しましたね。
(小林) 系外惑星を見て、それが大気でシールドされてるかどうかというのは分かるの?
(村主) そのスペクトルは見られるはずですよ。
(司会) 宇宙の生物を望遠鏡で見つける、みたいな話は?植物みたいなのが光合成していると、地表の反射のスペクトルに特徴が出てくるとか。
(村主) ぼくは大いにあると思ってるけど。あ、 草生えてる、って。赤外線をはね返してるかどうかっていうのは一つ、生命の指標とされてるよね。
(小林) 光合成をしているものがあるとスペクトルでわかる。
(村主) わかるんです。光合成に不要である、 波長の長い赤外線を捨てていることがわかるので。
(長尾) 今の望遠鏡だと難しいんですけど、もう一世代次の望遠鏡は、本気でそういう研究狙ってますね。
(司会) 何年後ぐらい?
(長尾) いくつかプロジェクトあるんですけど、 地上に据え付けるタイプの望遠鏡の次世代版は、あと 10 年以内ぐらいに動かしたいと思ってますね。30 メートル望遠鏡。
(司会) どれぐらいの範囲までカバーできるんでしょう?
(長尾) さすがに一個一個の惑星のスペクトルをとるのは、近場じゃないと難しいですけど・・ 。
(司会) ひょっとしたら我々が生きてる間に、 なんか草が生えてる惑星が見つかるかもしれない。
(長尾) それは見つかるでしょうね。意外と生命活動って他の星にもあるかもじゃん!みたいな。
(司会 ) じゃあ、いつかネイチャーに "Extraterrestrial Life Found(地球外生命体を発見)" みたいな論文が出る日も。
(村主) それはあると思うよ。
(司会) 期待が持てますね!今日は貴重なお話をありがとうございました。