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司会 例えば、地方自治体とか県とか市町村レベルって、感染症を専門とする人って常駐してないんですか。
古瀬 常駐の人がいることはまずないですね。
司会 日本でも本当に医療が逼迫する可能性があるということですよね。
古瀬 保健所には何らかのプロが2~3人いて、そのなかに感染症の専門家がいたら本当にラッキーというくらい。
水本 職員数も減ってきている。今後起こり得る感染拡大に耐えられない可能性だってある。
司会 対策班メンバーが集まれるシステマティックな制度はないんでしょうか?
水本 自分が大学に研究室を持っていて、授業もあったら教員だって無理だよね。
司会 ちなみに対策班メンバーにはお金って出ているんですか。
古瀬 出るか、出ないか分からない状態で参加しましたが…最終的にはお金は出ました。参加した時点では、滞在費や交通費も、全部自腹になる可能性もあった。
司会 ボランティアですよね。
古瀬 2月に始まって、もう年度の予算が終わっていたので…。
水本 それだけだったらいいんですけど、本業の研究が止まってしまうのが痛いよね。社会貢献はしたいけれど、研究時間や研究費申請の逸失機会が多いので、継続の可能性があるかといわれると…。2度目の招集は全力でお断りしたい(笑)。
司会 研究者は声かけられても参加に悩むというか…断ってもいいわけですよね?
古瀬 経験を買いに来ているという感じになっていますね。
司会 クラスター班に入るんだったら、何とか業績に結びつけたいと集まる研究者も中にはいるんですか?
古瀬 それはないと思う。
水本 そこまではないですけどね。授業等や委員会とか全部止めて、詰めてやれるかって言うと、普通は難しいと思う。自分は、今回の場合は授業が止まったんで、ある意味行けたかもしれないですけど、状況によっては難しいですね。
司会 知人とかのネットワークで集まってきて、お金も出るか分からない、そんな善意の体制で感染症対策が支えられているって、大丈夫なのかなと。
水本 まったくその通りですよね。
司会 実務面の話で、こんなデータがリアルタイムに上がったらいいのになとは感じた点はありましたか?
古瀬 不足のデータというよりも、データの集め方が場所によってバラバラなんですよ。
水本 情報収集のフォーマットですね。今回、47都道府県が公表しているデータって、基本的にフォーマットも違うし、それを揃えるのに、膨大な時間と労力がかかっている。だから、全国統一のフォーマットなら効率も全く変わってくる。
古瀬 なかにはデータ送信がいまでもFAX?…なんて馬鹿にしましたけど、アメリカでも一部の州ではFAX送信ですね。
水本 都道府県によっては、事情があって、開示をしていないデータがあるので、そこも全部公開してもらいたいという希望はある。感染症は人権問題も絡んで開示していないデータもあるので、こういう緊急時にリスク推定が遅れたり、詳細な分析ができない要因にもなっているところがある。