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司会 コロナ対策の最前線である厚労省クラスター対策班では、具体的にどのようなことをされているんでしょうか?
水本 通称クラスター班は、英語ではエマージェンシー・オペレーティング・センター(EOC)と言います。今回は、専門家集団が、厚労省の政策決定・政治判断に関わる人たちの中に科学者として参画し、データ分析を通じて彼らに助言をしていくというものだと思います。医系技官はバックグランドが医師だったり、公衆衛生の知識・経験はあるんですけれど、複雑なリスク推定までは対応できません。それをクラスター班が補ったという位置づけと認識をしています。
司会 EOC機能って海外とは異なるんですか?
水本 厚労省内で、対策本部がつくられるんです。新型インフルエンザ本部とか、震災本部というのもできたんです。だから、そのときは省の中で部局を全部またいで職員が招集されて、大きな会議室で100~200人規模でやるわけなんです。
司会 シンゴジラにそういうのが出てきました。省庁横断対策班みたいな。
水本 日本においては、科学者の集団が現場にいて、彼らのコンサルテーションができる体制というのが、実は今回初めて実現したというのが事実なんですよね。
司会 厚労省の方のタスクとしては、データを吸い上げて、理解可能な形で提示するというイメージでいいんですか?
水本 医系技官は医療政策の専門家で、通常はジェネラリストの集団なんですよね。例えば、2年ごとに入れ替えがあったりして。感染症政策に特化している方はごく少数であって、また、感染症データ解析のプロじゃないので。
司会 業務には、難しい局面やもどかしさもあると思いますが?
古瀬 もっと現場の人やリソースを繋ぎたいという思いがありますね。僕らでも実際は難しいんです。立場が弱いというか、オフィシャルな厚労省の職員ではないので。
水本 なので、私たちは例えばリスク解析だけじゃなくて、普段のちょっとした疑問に対してアドバイスする。つまり、コンサルタントのコンサルタント。要は、単純に言うとリスクをちゃんと推定して、彼らに厚労省の行政官に助言していくというような位置づけなのかなと思っています。