2018年度白眉秋合宿(2018年12月14日~15日/中井愛子)
2018年度の白眉秋合宿は、12月14日から15日、関西セミナーハウス(修学院きらら山荘)にて開催された。合宿は10月に着任した新しい期の研究者の歓迎と交流を目的としており、9期の研究者にとっては初の本格的な白眉行事である。彼らがこれから先の行事運営にどう向き合ってくれるかは、ある程度この合宿にかかっている。学問の自由さ、面白さ、それぞれの研究の奥深さだけでなく、他の研究者との交流とコラボレーションが掻き立てる爆発的な創造力。これらをどう伝え、それぞれの「白眉らしさ」を発見して次につなげてもらうか。8期合宿世話人(天野・中井)としてはそんなことを考えていた。
合宿では、離籍者講演1つ(6期山吉麻子さん)を含み、7期雨森賢一さん、4期Henri Derocheさん、8期高棹圭介さん、8期天野恭子さん、総勢5名のOBおよび現役白眉による講演が行われた。特に同期研究者には、なるべくインタラクティブな方法で、そして多分野の研究者に応用が利くような抽象的な次元の議論を盛り込んでくれるようお願いしていた。報告はいずれも高度な専門性を有すると共に、分野を超えて真理への探求心を動かされる素晴らしいものだった。いつのまにか「最適化」が一部で共通テーマを構成し、合宿後も議論が盛り上がっていたのが非常に印象深い。
恒例の自己紹介は、昨年の例を引き継ぎ、ペアを組んでの他己紹介とした。そのうえで、フロアが採点して優勝ペアに賞品(粗品)を出すコンペ形式をとった。発表順や趣旨の理解によって多少の運・不運が出てしまったが、最も気合いの入った出し物を提供したペアが粗品を勝ち取った。
空き時間には、付設の茶室でお点前を愉しんだり、直前の台風で荒れた山間の散歩に挑戦したり、持ち込んだ原稿仕事に取り組んだり、議論に興じたりと、自由に交流を深めたり深めなかったりしていただいた。夜会では、9期合宿世話人(カムランザッド、鈴木雄)が提案したカードゲームを行った。2枚ずつ同じ絵柄のものが入ったカードの山から全員に各1枚を配り、それぞれ、他人には手元のカードを見せずに、絵柄から連想される言葉を順に述べる。それで誰が自分と同じカードを持っているかを当てるという、大変面白いゲームだった。2人の人間が生来同じ構造の目と脳で同じものを見る。しかし、そこから何をいかに表現するかはかくも異なっているのである。半数が酔っぱらっていなければ結果はまた違ったかもしれない。
この合宿で皆様が白眉をどう感じとられたかは知る由もない。だが、締めの挨拶で小川PMが“This is Hakubi atmosphere.”と評されたとき、まがりなりにも荷が下りた気がした。楽しかったというお言葉はなによりの誉め言葉である。ご多忙のところ、一部でも参加してくださった研究者の皆様、支えてくださったスタッフの皆様には心より感謝申し上げたい。





(なかい あいこ)