第182回白眉セミナー : 『 重力と情報理論のつながりについて 』
- 宇賀神 知紀(第10期 基礎物理学研究所 特定助教)
- 2020/06/23 4:50pm
- ZOOM(白眉センター内限定)
- 英語
要旨
普段の生活の中で感じることはあまりありませんが、時間や空間の流れは絶えず変化し続けています。およそ100年前に、アインシュタインは時空の歪みこそが重力の本質だと見抜きました(一般相対性理論)。一般相対性理論は、重力が強すぎて光さえも逃げられない時空、ブラックホールの存在を予言します。
現代の物理学者にとって、ミクロな世界における重力、時空の振る舞いを記述する法則(量子重力理論)を見つけることは、大きな目標の一つです。この量子重力理論を見出す手がかりになると考えられているのが、 ブラックホールが,その事象の地平面の面積に比例するエントロピーを持っている、という事実です。この発見はある領域上の重力理論は、その境界における重力を含まない量子論と等価になる、というホログラフィー原理の発見につながりました。ホログラフィー原理はある意味で、我々の慣れ親しんだ時空概念の背後に、情報理論的な構造が隠れていることを示唆しています。本講演ではこれらの量子重力理論をめぐるアイデアについて解説したいと思います。
オープニング・トーク
ブッダと疫病
- 講演者:菊谷 竜太(第8期 文学研究科 特定准教授)
- 日時:2020年6月23日(火)16:30-
- 場所:ZOOM(白眉センター内限定)
- 使用言語:基本日本語(適宜英語・スライドも英語)
要旨
ブッダの時代においても疫病は現在と同じく見えざる脅威であった。 「こ[の世界]にはマンダラカ(maṇḍalaka)とアディヴァーサ(adhivāsa)という鬼霊によって生み出される疫病がある。マンダラカという疫病は襲った家[の命]を一人も残らず奪い去り、アディヴァーサという疫病は地域すべて[の命]を奪い取る(『マハーヴァストゥ』第 25 章)」
本発表では、こうした見えざる脅威に対して人々がどのように可視化し、名を与え、そして対処したのか考えてみたい。