『 実験室に地球をつくる 』
ジュール・ヴェルヌのSF小説「地底旅行」にみられるように、地球の深部はどうなっているという疑問を、人類は永年にわたり心に抱いてきました。しかしそこは極めて高い圧力と温度が支配しており、文字通りのフロンティアで直接探査が不可能な領域です。例えば掘削による直接探査の世界記録は、ロシア北部のコラ半島超深度掘削坑の深さたった12 kmでしかありません (地球の半径は約6400 km)。高圧地球科学と呼ばれる分野では、このような「掘って直接観る」ことが不可能な世界を理解するため、中心で364万気圧、5000 ℃におよぶ地球深部の超高圧高温極限環境を実験室に再現し、地球を構成している物質の様々な物理的・化学的特性を調べる研究に挑戦しています。 本講演では、このような研究の最先端を簡単に紹介した上で、私が最近取り組んでいる、地球の形成と進化に関する研究成果を紹介します。