| ENGLISH |
(石本) 今、思ってることでもいいですし、研究のことだけでもいいですけど、そうじゃないところでも。例えば、はじめの方であった、何か真理を探索するというのを続けたい、のような。
(林) それは個人的にはそうですね。内に閉じた夢はそれで、白眉入ってきてから思ったのは、ここで会った人と20〜30 年後ぐらいに何かおもろいことやりたいというのが、今の外に開いた夢ですね。何かこの人間関係使って面白い、それが何か全くわからないですけど、何か面白いことやりたいなあみたいな。
(榎戸) 必ずしも研究じゃなくてもいい感じしますよね。何か研究だとちょっと陳腐化しそうだから。そういう場当たり的な学際融合じゃなくて、もうちょっと広い意味での。
(越川) もっとだから、組織を作るとか、そういう話になりますか。行政とか。
(林) ぱっと思いつくのは、例えば本当こういう白眉みたいなことをやるときの、伯楽会議みたいなのをみんなでやったりとか。でも、全く同じことはしたくないからね。何か新しいことで、何か面白いこと。まあゆっくり。時間あるんで(笑)。
(越川) 考えましょう。
(山吉) 夢。白眉に来てから思ったことですが。昨年度で前職場のボスは定年退職されて、某大学の客員教授になったのですが、ボスを見ていて、退職後の自分について考えることがありました。それで、白眉センター長って、いいなって思って。
(林) 確かに(笑)。
(山吉) 白眉の皆さんは色々な研究してるし、そんな人達と接することが出来るのは、すごく楽しいだろうな、と。いや、でもすごく大変そうでもありますが。
(榎戸) 山吉さん、でもそれやるためには第7 期がないと(笑)。
(山吉) 既に今、白眉に入ってから色々な話が聞けて、すごく楽しいし。今まで自分の分野には無い発想に触れることが出来るし。それに、林さんの言う、真理の探求というか、何が本当なんだろうっていうのを突き詰めて考えていくことを、ずっとやりたいって。
(林) そういう思索は趣味として、何かね。
(榎戸) 結果そのものじゃない。考える行為そのものに意味がある。
(林) さらに言えば、何が仕事としてきても、それ全部楽しめるような精神状態にいたい。
(上峯) 起こること全部、ラッキーだと思ってね。
(林) 何か怪しい啓発セミナーみたいになってるけど(笑)。
(越川) すべてポジティブに、捉えますみたいな。
(林) すべてポジティブ(笑)。でもそれは本当にちょっと心がけてやってきたいですね。
(榎戸) 研究の夢はいっぱいあるけど何だろうな。ちょっとまだ考えるけど、ほかの人。越川さんは?
(越川) 夢ねえ。
(榎戸) 何か僕、個人的にはやっぱり、自分で満足できる1 個作品を残したいっていうのがすごくあって。
(越川) それは難しい、それは難しい。
(榎戸) 作品ちゅうのは何だろう、論文かもしれないし、本かもしれないし、別にプレゼンテーションでもいいんだけど。
(越川) 弟子かもしれないですね。
(榎戸) 僕まだ、弟子って感覚になれなくて。まだ自分自身をアクティベイトしたいし、カルティベイトしたいんで、自分の後ろにいる人を教育したいっていうの、まだあんまりないんですよ。多分もうちょっと上の世代になると、弟子を育てること自体を作品的に見るんですかね。
(越川) だと思うんですよね、きっとね。
(榎戸) 僕、まだ自分で何かすごくこう、教科書に載るような図を作りたいっていうのは、僕のちょっとした夢っちゃあ夢で。何かそれを教科書に使ってもらえるような意味がある、きれいな、物理的に意味がある図を作りたいっていうのが、僕の作品かな、一番やりたいこと。何かそういうのが一つ欲しいかなぁ。
(上峯) 子どもに夢を与えるって大事。
(榎戸) かっこいいっすよね。
(越川) と同時に子どもっておかしな発想するから、何ていうのか……
(上峯) 僕らにとってもいい刺激になりますよね。
(越川) それが何かヒントになればっていうか、横から普段こない方向からくるっていうのはすごく大事な刺激なんで。
(上峯) すごい試練ですよね。
(越川) (笑)。何か子どもに接するのは結構いいと思いますね。
(上峯) 子どももですけど、若い世代に夢をあたえられる研究者を目指したいんですよね。そういうと小学生をイメージすることが多いけど、本当は中高生や大学生ぐらいに夢をあたえられるのがすごく大事なんじゃないかなと思うんですよね。
(林) その辺で急速に失っていくのかもしれない。
(上峯) そう。学問に対する純粋な思いが、お勉強にすり替わっていって。面白くなくなってしまうじゃないですか、中高生ぐらいから。
(榎戸) 中高ぐらい、あと大学入って。
(上峯) だから中高生、大学生ぐらいの子たちに、夢を与えられるっていいなあって。僕、なんでずっと研究者にあこがれてたのかなぁと考えると、結局研究者ってかっこいいなって思うんですよ。これまでかっこいい先生、先輩、後輩をたくさん見てきましたし、白眉の皆さんも、研究分野は全然違うけど、かっこいいなって思います。なので、考古学のおもしろさだけでなく、研究者のかっこよさを伝えられるようになりたいです。
(林) 人にものを教えたことほとんどないから、取っかかりがないというか、どうしたらいいのかっていうのは思うんですけど。子どもに接してて思うのは、やっぱ何かやるときは自分が楽しんでるっていうことと、一緒に考えるっていうのを心がけるようにしてます。そうしてると、楽しそうな大人がおると思って、その人がやってることも楽しそうに見えるんじゃないかな。
(上峯) こっちが楽しんでたら、相手にも気持ちが伝わるかなって思います。
(越川) 確かに内容だけでいったら、今、ネット上に電子教科書みたいのとかあったりするわけだから。情報だけで言えば、誰でも取れる状態になったわけですよね、別に大学に入れる人じゃなくたって。だから、そういうことじゃないってことにこれからなってくのかな。
(上峯) 確かに、教えなきゃいけないのは情報ではないんですね。
(越川) 情報ではないってことになってきますね。
(榎戸) 個別の知識そのものは教えられるけど、有機的にそれを使い分けられるかっていうのは、必ずしも、Wiki 見てもわかんないから。研究者は有機的に情報を複数、組み合わせて使えるっちゅうところが大きく違うとは思うんです。
(林) ある程度大きくなって、大学とか院まで行くと、もうあとは自分で自分を盛り上げてやっていかないと、研究者としてはそっから先がもう続かなくなっちゃうかなという気はしますね。でも中高は、確かに穴の部分で。その辺、中高、大学頭ぐらいの学生に何ができるか。
(越川) 何か中高行かれたりとかしてます? 皆さん。ジュニアキャンパスとかあるので、ぜひ。ぜひ、皆さんやってください。
(林) ジュニキャン。
(越川) ジュニキャンとかサマースクールとかあるんで。
(石本) 今日は白眉研究者の夢に関していろいろ面白い話を聞けましたが、そろそろ時間になりました。みなさんありがとうございました。
『となりのトトロ』スタジオジブリ(制作)(1988 年、徳間書店)
『The Answers』鈴木剛介(著)(2004 年、角川書店)
『サイアス』科学に関する月刊誌。2000 年に休刊。朝日新聞社(刊)
『赤毛のアン(赤毛のアン・シリーズ)』ルーシー・モンゴメリ(原著)、村岡花子(翻訳)(1954 年、新潮社)
『コスモス』カール・セーガン(監修)(1980 年、朝日放送)
『三国志(潮漫画文庫)』横山光輝(著)(1997 年、潮出版社)
『ローマ人の物語』塩野七生(著)(2002 年、新潮社)
『一万年前を掘る』奈良県立橿原考古学研究所(編)(1994 年、吉川弘文館)
『昆虫のひみつ(学研まんが ひみつシリーズ)』林夏介(著)(初版1973 年、新訂版1992 年、学研)現在は絶版になり、後継作品として別著者による「昆虫のひみつ(学研まんが 新ひみつシリーズ)」が刊行されています。