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(石本) 次のテーマっていうことで、子どもの頃の夢を皆さんにちょっと振り返っていただきましたけども、覚えてなかったりとか、今と全然関係なかったりとか、あるいは自分の身近な、ご両親だったりとか街、地域の環境からすごく影響受けてたということだったんですけども、影響受けたということで、榎戸さんから発案があった、影響受けた本ということを、少し。
(榎戸) そう言った俺が持ってきてない(笑 。
(一同) (笑)
(石本) 例えば、幼い頃でもいいですし、最近読んだ本かもしれせんけども、自分の人生や、あるいは研究生活において影響与えてくれた本っていうのを、皆さんに持ってきていただいてると。
(榎戸) ない人もいるけど。
(石本) まず、じゃあ、僕からいきたいと思いますけども、残念ながら最初から本じゃないんですけども、これ、『となりのトトロ』です。僕も子どもの頃の夢の一つに考古学者っていうのがありまして、それはトトロのあのお父さんが考古学者。
(榎戸) そうなの?
(上峯) あの人は地方の大学で非常勤講師をしながら、考古学の革新的な論文の執筆に取り組んでるって設定があって。
(榎戸) そんな裏設定があるんだ。
(上峯) 書斎の場面では、背景に遺跡の本が映ったりしてます。
(石本) 僕としては、自分の親とは全然違う生活だったと思うんですけど、家に本がたくさんあって、身近な森だったりとか、自然の中にいながら自分で考え巡らしてっという生活がかっこいいなって思ったのが、結構ずっと心の中にあって。当時、考古学者ってあんまり知らなかったんですけども、本がたくさんある部屋にはあこがれましたね。で、まあ、お父さん優しそうっていう(笑)。
(山吉) でもトトロって、ストーリーがそんなにお父さんにフォーカスされてない(笑)。
(越川) でも、この年になってからお父さん視点っていうのは見るようになって、確かに。大人たちはどう動いてるかっていうの見るようになって。子どもの頃はどっちかっていうとサツキちゃんとかの視点で見てた気がする。
(石本) 本があふれる家に住みたいと思って。研究者になりたいなっていうか、もしかしたら、見ててああいう大人になりたいなと思ったのかもしれません。
(林) でも、うち実はそんな感じで。まさに父親の部屋には本がもう山ほどあって。
(越川) じゃあ、サツキちゃん的な立ち位置なわけですね。
(林) サツキちゃんの立ち位置(笑)。
(石本) では、次はお父さんが「トトロ」のサツキのお父さんみたいな、林さんに伺いましょう。
(林) じゃあ。僕、これ持ってきたんですけど、『THE ANSWER』っていう本を。これ、大学1 回生ぐらいのときにヴィレッジヴァンガードっていう……
(榎戸) ありますね。おしゃれ本屋。
(林) おしゃれ本屋(笑)。雑貨本屋みたいなとこで偶然見つけて。これ何の本かっていうと、哲学、まあ書いてありますね、空前の哲学エンターテイメント小説って。僕、名前が眞理(しんり)と書いて眞理(まこと)なんで。本当ずっと真理って何かっていうのを、やっぱ中高ぐらいずっと考えてて。かといって、別に哲学者の本を読んだりとかいうわけでもなくて、ただただ考えるっていうか、世界って何だろうみたいなんを自分なりに考えてみるってのが結構好きで。これ、見つけて面白そうやなと思って読んだら、これは結構自分にはまって、世界観ががらっと、そこで変わった気が。今も何年かに1 回ぐらい読み返してんですけど。どんな内容かっていうと、認識っていうのはどういうことだろうっていうのを、この著者は自分なりにずっと考えて、認識とはものごとを決めるということだっていう答えにたどり着いて。世界って自分らが言語によって決める前には、決めた後と同じような姿では存在していない、と書いていて。言葉で何か分節化していく前の世界って言うのはひとつ。全部ひとつながりの世界を人間は言葉によって分けて、分けて、分けて、細かくしている。これが、われわれの認識の在り方だ、
(越川) 何言ってるかわかんないっす(笑)。哲学ですか。
(林) いや、僕はね……
(越川) いや、わかります、おっしゃってることはわかるけど、その思想をどう解釈していいのかわからないです。
(林) 僕も、これが答えってわけじゃなくて。これ、僕の夢にもつながってて。個人的な夢の一つはこういうことをずっと考え続けたいっていう、わくわくしながら。
(越川) それはあるかもね。
(林) 年を取っても。
(上峯) 答えが知りたいんじゃなく。
(林) 答えが知りたいんじゃないっていうか、答えはもうないと思っていて、でも、考えるプロセスっていうのを、本当に死ぬまで続けていきたいなっていうのが、今の夢っちゃ夢ですね。
(越川) なるほど。えらいレベルの高い話で。林さんの中でその生物学とここのつながりっていうのはどうなっているんですか。
(林) ないですね。
(越川) ないですか。
(林) 僕の中ではこれはもう完全趣味な分野ですね。趣味として哲学をずっと続けていきたいっていうのがあって。だから、これを生物学に還元しようとかは特には思ってないし。生物学っていうか、もう学問も全部そうだけど、言語の作業じゃないですか。でも、言語取っ払った世界ってどんなのかなとか考えたりしてると、そんなことこっちの学問のほうに持ってくると、もう成り立たない。
(越川) 逆に、これ哲学の人に怒られるかもしれないけど、哲学って昔っからあるじゃないですか。それで、そこに何か新しいもの入れようと思ったときに、僕は生物学が結構そのソースになると思っていて、哲学を発展させるためにも、特に認知科学とか人間の脳の機能とか、そういうのをやることで、もしかしたら哲学に寄与する場面もあるのかなっていう気はしてるんですよね。だから、そういうモチベーションなのかなと思って。
(林) それ確かにいい視点ですね。完全に切り分けてるっていうと、確かに語弊があって。何か出たことは、また自分のベースになって、こういう哲学のこと考えるときに、多分どっかでは自分に影響を与えてるっていうのは思いますね。でも、あえて意識してやってるかっていうと、そういうことはないですね。これはだから、そういう趣味のほうで影響受けた本ですね。
(榎戸) 大学の1 年生?
(林) 大学の1 年生ぐらい。
(越川) 確かにいろいろ考える時期かもしれない。
(林) うん。でも、もうその頃には、僕生物学科にいたんで。実は高校で、もう物理と生物が選択だったんですよね。そのときに何か知らんけど、これから生物の時代だって、どっかで見たんかな。テレビか何かで見たんかな。そういうときに生物系の面白いエッセイとかも読んでて、それもそれで影響受けましたね。『サイアス』って雑誌で。
(越川) ありましたね。
(山吉) 生物っていうか、生体の中って化学からすると考えられない反応が起こってます。C-C ボンドを取ったり作ったりしたり。ノーベル賞を取った鈴木カップリングとかも、有機溶媒中でC-C ボンドを作る研究なのですけど、それだけ難しい反応なんです。多分、生体の中の酵素の反応場が水環境とは異なっていると思うのですけど、そんな反応が生体内で普通に行われているのが、本当にすごいなって。まだ明らかになってないこともあるだろうし、まだまだ我々の知らないことがあるんじゃないかな。
(林) それは生物に進んだときに、何かあったんですか、そういうきっかけ。
(山吉) ちがうんです。私のベースは化学なんですけど、応用先が生物学的分野だったので、化学畑から生体反応を眺めると本当に魔法みたいなことが起こってて、すごいなぁって。それを突き詰めていくと、何だこんなことかっていうこともあったりして。それって真理とはちょっと違う。単純に、面白いなって。
(林) じゃあ、流れていきますか、そのまま。
(上峯) その『赤毛のアン』につなげて。
(山吉) 『赤毛のアン』は研究と全く関係無いんですけど(笑)。このシリーズ10 巻あるんですよ。今日持ってきたのは1巻です。最後の方の巻では、もはやアンが主役じゃないんですけど。孤児のアンが、マシューとマリラっていう老兄妹に引き取られるのですが、アンはそこで初めて家庭の愛情だったり、親友を得るのです。あと、宿敵で後にアンの夫になるギルバートとの出会いも。ストーリー自体はドラマチックでも何でもない話だけど、何か好きで。何回も読み返しています。
(林) いつ頃初めて読んだんですか?
(山吉) 小学校2 年、3 年生ぐらいのときに読みました。
(越川) 早いですね。
(山吉) 多分、昔は、読んでるようで読んでなかったと思うんですけど(笑)。でも、読むうちに、下手したら泣いたりしてしまうの。何でこんなに、この本に魅かれるんだろうって逆に考えていました。最近思うのは、この本には、なんでもないコト、日常のささやかなコトが本当の幸せであることが、書かれているからでしょうか。それは今の自分にも当てはまることがあって、研究してると、ビッグジャーナル載せたいとか色々思うこともあったけど、結局、自分にとって本当にワクワクする瞬間って、すごく地味な瞬間なんです。そういうことこそ、本当の喜びなのかなと。
(林) 幸せとは何かっていうね。
(石本) 具体的にどういうときにそういうふうに感じますか、研究していて。
(山吉) 地味なんですけど、ある分子Aと分子B は強く結合するけど、分子Aと分子C は全く結合しないという現象は、すごい好き。
(一同) (笑)
(山吉) ある分子にはすごく強く結合するのに、別の分子には全く結合しなかったりすると、もうゾクゾクして。結合曲線が急に勢いよく立ち上がって、バーンって結合すると、キターって感じ。
(林) よくわからないその話。面白いな。
(山吉) それって、その分子にしか結合しない理由があるので、そういう現象を見て、考えることが好き。
(上峯) 研究の中で細かい発見あるじゃないですか、その一番基礎的なやつって、すごく興奮するんですよね。
(山吉) そうですね。結合曲線の最初の立ち上がりの瞬間を見ると、キターって。バシって結合するとゾクゾク。
(林) ゾクゾク(笑)。
(山吉) ゾクゾクする。そういう、他の人にとってみれば何でもないことなんだけど、そういう現象を見ることが研究をする上での、幸せの原点です。
(林) 人生観みたいなんに影響与えてるわけですね。
(山吉) あと、同じ女性としては、ストーリーの最初では、アンは自分が赤毛であることを気にしていて、誤って緑色に染めたりして大失敗したりします。夢見がちで、虚栄心があって、自分を良く見せたいという思いが強かったり、それでたくさん失敗もして成長していくところなんかは、まさに等身大です。最後には自分の人生を何度も見つめ直しながら、大学に入って、先生になるのですが。結婚してから子ども失うこともあります。
(林) 割と普通じゃない、波乱万丈の人生。
(山吉) 息子が戦争行って亡くなり、その苦悩を乗り越える。そういう人間っぽいところもかっこよくて。私がこの本に惹かれるのは、アンが何でもできるスーパーウーマンじゃなくて、割と等身大で親しみがあって、本を読むことで彼女と一緒に成長できる様に感じるからかな、と。
(榎戸) 僕、本をみんなで持ち寄ったら面白いじゃないですかって言って、本持ってこなかったけど(苦笑)、実家が札幌なんで、本を送ってもらっても間に合わなかったかもしれない。今、思い出してみるとうちは本じゃなくて、ビデオがあったんですよね、科学系の。有名な『コスモス』っていうビデオシリーズがあって。アメリカのカール・セーガンっていう惑星科学者、宇宙物理学者がコメンテーターになって、生物の進化の歴史とか、太陽系がどうできたかとか、宇宙はどう始まったかみたいな話を解説するシリーズなの。だから本よりもビデオとか映像から入ってきたんだ僕は。結構影響を受けたと思う。で、中学くらいまであんまり活字読まなかったんだけど、横山光輝の『三国志』とか、歴史物は好きだったんだよね。本を読み始めたきっかけは歴史物なんですね。僕は結構乱読で、いろんな本を読むから、あんまりこの本がベストってことは特にないんですけど、石本さんの、最初の質問に答えると、僕が影響を受けたのは『ローマ人の物語』っていう塩野七生さんの本ですかね。すごく好きなの、ローマの歴史をずっと描いたものです。それで、僕の本棚はこれ(スマートフォンの画面を見せる)。実家行ったときに本棚整理したんです、先々週ぐらいに。で、これ本棚の一部なんですけど、ここにあるシリーズで、見にくいですよね。ここのシリーズ、これが全部『ローマ人の物語』シリーズで。
(林) 全部活字の。
(榎戸) これ全部活字。おばさんが読んでて、おばさんが読書家なんですね、とにかく本読んでて。僕、それに影響されて、本棚を持ち込んで……
(林) 自分の部屋の本棚、おなじく写真があります(スマートフォンの画面を見せる)。
(榎戸) みんなで本棚自慢(笑)。いやいや、僕もね、結構この本はいいんですよみたいなあるんです。
(林) いやいや、俺は自慢できないんですよ。なぜかというと全部漫画だから(笑)。
(榎戸) 『ローマ人の物語』、この本はローマが建国されてから滅びるまでの、いろんなそこで活躍した人を描いてて、1 年に1冊ずつ出てるんですよ。高校時代ぐらいから読み始めたんだけど、何が楽しかったかというと、嫌いなのは歴史物とかで、いい人と悪い人がいてとか、主人公は完璧な人で、敵キャラは人格的に欠点があったりっていう感じのがあんまり好きじゃなくて、登場人物は全員いい人なんだけど、みんなそれなりにしっかりやろうと思うんだけど、いろんな事情で結果としてこうなってしまったみたいな、リアリスティックなほうが好きなんですよね。
(林) まさに現実。
(榎戸) 最後にずっと高校から通して今でも影響受けてるのは、実は伊集院光さんの『深夜の馬鹿力』っていうラジオ番組があって、彼の話芸、すさまじく面白いんで、ずっとそれを聞いてますね。これがほぼ僕の人格形成に寄与したっていうか。裏の面は全部そっち。
(山吉) (笑)
(越川) 宇宙物理、天体物理にそこはつながってくるんですか。
(榎戸) 全くつながってこない。全くつながってこないっす。やっぱりでも、聞いてると間の取り方とか、うまいっすよ、何か引き込むのが。
(石本) 歴史の話が出たので、歴史の話をしてくれるんじゃないかと期待して話を聞きます。
(上峯) 僕、この『1 万年前を掘る』っていう……
(石本) めっちゃ歴史の本。
(越川) めっちゃ直球じゃないすか。
(上峯) 僕の地元、山添村はすごく田舎で、さっき話ありましたけど、信号が生活圏になかったり、まだ土葬の風習があったり。中学の教頭先生が、卒業式だったか離任式だったかで、「将来、田舎の出身だということを嫌だなぁと思うことがあるかもしれない。でも山添村のいいところを三つあげられたら、胸を張って生きていける」って話をされたんですよ。僕にとってはその一つが遺跡で。うちの田舎って遺跡だけはある。僕の父親はずっと山添村で育った人なんですけど、山添村への愛着から派生したのか、遺跡関係の本がいくつか家にあって。虫とか恐竜とか宇宙とかに興味もってるころは、原始人に興味なんてなかったけど、中学の頃だったかな、これ本棚から引っ張り出したら山添村のことがいっぱい書いてあるんですよ。専門的なことが書いてあるから、中学の頃に読んでも内容はわからない。でもこの本は山添村でいい遺跡が見つかったから出たんだ、うちの田舎すごいんじゃないか!と思って。
(林) 山添がね。
(榎戸) すてきだ。
(上峯) だからこの本の存在っていうのが大きくて。考古学をやろうと決めて大学に進んだわけじゃないんだけど、考古学は常に選択肢の一つではありましたね。
(榎戸) 親がこういう本を置いているのって、意外に子どもは見てるから、ちょろって取って、それで影響受けたりしますよね。それは結構僕もあったかもしれない。
(林) じゃあ何を残すかちゃんと考えないと。
(越川) 林さんのところは漫画家になるかもしれないっすね。
(林) 漫画なら『火の鳥』とかはぜひ読んでほしいですよね。あっ、漫画でつながるじゃないすか。
(越川) 漫画でつながってください。皆さんご存じのひみつシリーズでございます(『昆虫のひみつ』を提示する)。知らないか。
(榎戸) 何々。
(林) 知ってまーす、知ってまーす。
(山吉) 知らない。
(越川) 知らない? 知らないですか。
(林) 学研漫画って、一家に1 冊は……
(榎戸) 『昆虫のひみつ』は見たことないかもしれない。
(山吉) あ、本当に漫画なんだ。
(越川) 完全に漫画ですよ。
(林) これ、何かいろいろ科学的なやつを漫画で。
(山吉) 写真も結構いっぱいある。
(越川) これ、でも今考えると名作で、すごい一気にハイレベルなところまで持ってくんですよ。
(榎戸) ああ、結構深いところ書いてあるんですね。
(越川) かなりすごいです。で、無駄なコマがない。すべてのコマに有用な情報が入ってる。
(上峯) これを使って大学の講義ができるぐらい?
(越川) いやもう、そのレベルですよ、本当に。で、これ小学校、3、4 年生ぐらいかな。これをもうマスターしてるから、大体の昆虫については、大体のことはもうベースができてる状態になるんですよ。
(石本) 既に昆虫博士だったわけですね(笑)。
(越川) だから当時、昆虫はすごい好きだったけど、別に昆虫博士になろうっていうのはなかったし。
(林) 子どもに見せたい。
(越川) 最初ゴキブリから始まるんですよ。で、次シロアリにいって、で、僕シロアリの研究をかなり長いことしたんですけど、この内容を結局越えられなかった(笑)。
(山吉) 絵の力ってすごいですよね。
(越川) そうですね、結構擬人化も巧みで、昆虫と、これ見ていただければわかるんだけど、結局宇宙人が地球を調べに来るんだけど、地球人に変身してきたつもりが、サイズを一桁間違って、ちっちゃいんですよ。で、いきなり虫に襲撃されるところから始まって、昆虫を調べ出すっていう設定なんですよ。だから虫と等身大の人間が、ずっと虫の社会について学んでいくという体なので。
(榎戸) 昆虫が好きだからこの本読んだんです? それともこの本を読んだから、昆虫が好きになったんですか?
(越川) それはもう、混然一体となってしまって、わからないですね。
(石本) 昆虫を家で、捕まえたりとか飼育したりとか。
(越川) 飼育してたか……してましたね、田舎なので。僕、代々教師の家庭で、それで学校変わると、県内で基本的には異動するんだけど、千葉県なんでそんなにちっちゃくもないから、時々異動すると住む場所も変わったりするわけですよ。それで僕の祖父が家を買って、それが何か古い家だったんですよね。日本庭園がついてて、でもメンテナンスしないから、もう草ぼうぼうになるわけですよ。そういう状況で池もあって、芝生あり、周りに家庭菜園ありで、ものすごい昆虫がいたんですよね。そこで遊んでいて、これ読んでたから、それはものすごい影響を受けてるかな。だから飼育もするけど、ちょっと出ればもう見たことない虫が、今日もいるみたいな感じだから、あの環境の影響は決定的に大きかったですね。で、それをもう完全に忘れて、中高って行くわけですよね。それで大学選びのときに、何となく生物学っていうほうに行って、そのあとやっぱり昆虫っていうふうになってくるわけなんだけど。
(林) 一回、やっぱ中高で忘れますよね。
(越川) そうですね。
(上峯) でも、心のどこかに残ってるんですよね。
(越川) やっぱり、自分って何だろうっていうか、自分の世界って何かって思ったりしたときに、やっぱり子ども時代のことがよみがえるというか、そういう面があったのかなあと思いますよね。
(山吉) 何の虫が一番好きなんですか。
(越川) いや、どう好きかによりますよね。
(林) クワガタでしょ、クワガタ。
(越川) 子どもの頃はクワガタが好きだったかな、カブトムシかな。クワガタそんなに捕れなかったんですよ、地元。カブトムシのほうが捕れたかな。クワガタは詳しい人が沢山いますから、「にわか」はクワガタ好きとは言い難い。何ていうか虫の世界っていうんですか、あとチョウもそうですよね、やっぱり詳しい人はめちゃくちゃ詳しいから。
(林) で、結局何が好きなのかっていう……
(榎戸) どの昆虫が好きか。
(越川) 何が好きかなあ。子どもの頃から一貫して好きなのは、カマキリですね。
(林) いいっすね。
(越川) かっこいいですね。
(林) カマキリかっこいい。
(越川) やっぱり、ライオンが好きとかと一緒で、やっぱりこう……
(山吉) 強い。
(越川) あと何かマニアックな虫、僕すごい好きだから、それでシロアリに行ったっていうのもあるけど、言っても何ですかそれっていうようなマニアックな虫いっぱい好きです。
(林) ちょっと言ってみてください。
(越川) ラクダムシとか。
(林) ……何ですか、それ。
(越川) 何か、首がぐにゃっとなってて、何じゃこりゃっていうのが好きなんですよ。ぱっと見何だかわかんないような虫が好きなんですよ、僕は。