榎戸 輝揚 (2022)

第6期 特定准教授(理学研究科 宇宙物理学教室)
2015年4月1日〜2019年12月31日 在職

理化学研究所 開拓研究本部
榎戸極限自然現象理研白眉研究チーム
2020年1月1日~ 現職
京都大学大学院理学研究科 准教授
2022年11月1日~ 現職

白眉の延長戦でシチズンサイエンスへ挑戦

 京都大学での5年の白眉のあと、ご縁があって理化学研究所の理研白眉研究チームリーダーに採用いただきました。白眉の延長戦は珍しいケースでしょうか。理研白眉の違いは、研究員を雇用して独立したチームを立ち上げられる点です。研究環境や予算的にはたいへん恵まれていました。
 私の専門はX線やガンマ線を用いた天体観測で、京大白眉の時代にその技術を応用して、雷や雷雲からの放射線の測定に乗り出しました。金沢市に小型の放射線モニタをたくさん並べ、雷雲の中で電子が加速される現象や、雷放電で発生する強力なガンマ線でおこす原子核反応を観測できました。理研白眉では、シチズンサイエンスの手法を使って観測網を拡大し、市民サポーターと一緒にガンマ線を出す不思議な雲を探す「雷雲プロジェクト」を進めています。これは、単に科学研究の推進だけではなく、身近な自然現象の不思議をみんなで楽しもうという文化としての視点も重視しています。

 いまの研究のスローガンは「Collective power of science(共創型サイエンス)」です。これは単一の大型装置ではなく、小型装置を複数、有機的に連携させて科学をする意味と、研究者だけに閉じず広く社会と科学を進めたい気持ちを込めています。
 さらに最近は、小型の放射線モニタを月面や月周回機に搭載することで、月面の水資源探査や、月面からのガンマ線バースト観測を行う天文学、月から漏出する中性子を用いた中性子寿命の測定などを狙うMoMoTarO Moon Moisture Targeting Observatory) 計画も始めました。これから仲間を集めて推進していきたいと思います。

後輩白眉たちにひとこと

 京大白眉のステキな点は、文理や分野の違う多様性に溢れるメンバーと、古都という魅力的な舞台で交流できることではないでしょうか。研究に対する姿勢や、さまざまな考え方など、背景の違う友人たちから多くのことを学べました。短期的には無駄のようにみえるひと時が、まわりまわって意味をもつこともあるのかもしれません。