松本紘京都大学総長が白眉セミナーに参加(2011年6月21日/Asli Colpan)

第22回白眉セミナーでは、経営管理大学院を受入部局としている私が「ビジネス・グループと開発途上経済の国富」について発表し、松本紘総長も参加されました。セミナーは、「ビジネス・グループ」という、戦前期日本の財閥、現代韓国のチェボルあるいはラテンアメリカの経済グループといった実例が示すような、巨大な規模を誇り、経営を多角化し、しばしば家族によって所有されている企業についての研究報告でした。このような企業は、特に開発途上経済において、一般的な企業形態として重要な役割を果たしてきました。多くのビジネス・ グループは、経済的、政治的な激動、国際競争の激化、そして技術革新といった多様な変化を乗り越えることを通じて、驚くほどの持続力を誇示してきました。しかし、私は、社会科学の領域では、このようなビジネス・グループの評価は相変わらず低いままであり、発達した自由競争経済より以前の環境のなかでのみ存在する経済組織と見なされてきたという状況について説明をしました。ビジネス・グループの開発途上国での経済貢献にもかかわらず、このような企業が長期的に存続することは当該国の経済成長にとってもむしろ害になるとまで議論されてきました。私の研究は、このビジネス・グループの基本的性格、特徴、そして経済成長への貢献について体系的でバランスの取れた理解を提供することを意図しているものです。また、私が現在進めている研究プロジェクトであるビジネス・グループが持つ持続性と経済発展への貢献についての議論も紹介しました。白眉プロジェクトメンバーからは多様な質問が寄せられ、重要な課題が提起され、充実した議論が行なわれました。セミナーの後には、松本総長とセンター教員との間で意見交換の時間をとっていただき、各自の研究テーマや成果について議論を交わしました。

(Asli Colpan・あすり ちょるぱん)