第9回白眉セミナー : 『古典文献学としてのインド哲学』
  • 志田 泰盛(京都大学次世代研究者育成センター)
  • 2010/10/05 4:00pm
  • 次世代研究者育成センター(iCeMS西館2階 会議室)
  • 日本語

要旨

しばしば〈虚学の代表〉としてのレッテルが貼られるインド学/インド哲学ですが、ヨーロッパでは18世紀後半には文献研究を中心とする近代的なインド学が確立しました。日本においても明治の初頭には東京帝国大学に「印度及支那哲学」という科目が設けられています。

以来、サンスクリット語に代表されるインドの古典語文献を主対象とし、西洋古典学に由来する批判的・文献実証的な方法論に立脚したインド学は、一方では文献偏重主義にたいする自己反省も重ねながら基礎研究として成熟してきました。今世紀に入ってからも貴重な新写本が発見されるなど、ささやかながらもダイナミックに新知見を広げています。

今回のセミナーでは、インド学の誕生から最近の動向までを極々簡単に紹介した上で、話題提供者自身の白眉プロジェクト「古典インド聖典解釈学派による音声の永遠性論証の研究」の現況をご報告します。

また、本プロジェクトに至る経緯となったこれまでの自身の研究の中から、〈神の存在〉や〈認識の検証方法〉をめぐる論争など、インド古典にみられる具体的な思想内容やその背景も紹介する予定です。

関連する研究者

志田 泰盛