第88回白眉セミナー : 『ショウジョウバエの翅模様、その制御の仕組みと進化』
  • 越川 滋行 (京都大学白眉センター)
  • 2014/12/02 4:00pm
  • 白眉センター(iCeMS西館2階 会議室)
  • 日本語

要旨

動物の模様が形成される仕組みはよくわかっていません。模様に限らず、生物のかたちが作られる仕組みを理解することは、生物の形質の適応的意義と機能を明らかにするためにも重要です。我々は翅に水玉模様をもつミズタマショウジョウバエDrosophila guttiferaを用いて、模様形成メカニズムの研究をしてきました。  我々のこれまでの研究で、生物の発生の様々な局面で重要な役割を果たす遺伝子のひとつであるwinglessが、着色を誘導することが分かっています。ここ数年は、winglessの発現パターンがどのように進化してきたかに注目し、ミズタマショウジョウバエに特有の、遺伝子の転写を活性化させるDNA配列を同定しました。これを例として、発生制御遺伝子の制御領域が新しい機能を獲得することで形態進化が起こるというシナリオを提示したいと思います。

関連する研究者

越川 滋行