第74回白眉セミナー : 『熱帯型プランテーション開発と『狩猟採集民』のレジリアンス』
  • 加藤裕美 (京都大学白眉センター)
  • 2014/02/18 4:00pm
  • 白眉センター(iCeMS西館2階 会議室)
  • 日本語

要旨

私の白眉プロジェクトでの研究の目的は、熱帯地域で現在おこなわれる環境開発に対して、狩猟採集民をはじめとする地域住民の安定した生計のあり方を検討することである。この発表では、これまで行われてきた狩猟採集民に対する研究を整理し、政府による同化政策や20世紀に経験した自然環境の変化に関連する問題点を指摘する。発表の後半部では、プランテーション開発など、環境開発に対する人々の生存のあり方について、現在進行中の研究プロジェクトを紹介する。  狩猟採集民は、1万年前には、世界の人口の99%を占めていた。しかし、1960年には世界の人口の0.001%を占めるほどに減少した。20世紀に入ると彼らは開発の対象となり、狩猟採集的な生活は「開発すべき」「遅れた」生活であるとみなされてきた。国家の開発政策と彼らの生活に齟齬が生まれるなか、20世紀後半には熱帯雨林伐採に始まる自然環境の変化が起きている。本発表では現在、熱帯地域で広くみられるプランテーション開発に対して、狩猟採集民をはじめとする地域住民がどのように社会経済的な安定性を維持することが可能であるのか、現在進行中の研究プロジェクトを紹介したい。

関連する研究者

加藤 裕美