第7回白眉セミナー : 『京都大学からネヴァリンナ賞を輩出する方策を考える』
  • 上野 賢哉(京都大学次世代研究者育成センター)
  • 2010/08/03 4:00pm
  • 次世代研究者育成センター(iCeMS西館2階 会議室)
  • 日本語

要旨

ネヴァリンナ賞とは、4年に1度開催される国際数学者会議(8月末開催)においてフィールズ賞やガウス賞とともに表彰される3つの賞のうちの1つで、理論計算機科学分野における最も権威ある賞のうちの1つです。フィールズ賞やガウス賞においては周知の通り京都大学関係者の受賞がありますが、1982年創設のネヴァリンナ賞に至っては未だ日本からの受賞者はいません。

過去のネヴァリンナ賞受賞者の業績を分析すると大きく分けて2通りに分類できます。1つ目は、計算機科学の中核的課題に対する重大な技術的革新で、RazborovやWigdersonは論理回路計算量に対して重大な貢献をしてきました。自分の白眉研究計画もこれを視野にいれた研究の方向性です。もう1つは、他分野との共創からの新しい学問の創造です。Shorは量子計算という物理学と計算機科学の融合分野においてアルゴリズム的革命を引き起こしました。また、Kleinbergはスモールワールドネットワークと呼ばれる、もともとは社会科学を源流とする学問の流れに対して、卓越した数理モデル化および解析を与えてきました。その構造は、人間関係からインターネット・生態系そして脳などあらゆる分野に遍在的に表れます。

今回のセミナーでは後者の方向性にも焦点をあてつつ、京都大学からの将来的なネヴァリンナ賞受賞者輩出へ向けた戦略について考えます。

関連する研究者

上野 賢哉