第69回白眉セミナー : 『右利きのヘビと左巻きのカタツムリ』
  • 細 将貴 (京都大学白眉センター)
  • 2013/12/03 4:00pm
  • 白眉センター(iCeMS西館2階 会議室)
  • 日本語

要旨

ヒトの心臓、ヒラメの眼、フクロウの耳…。左右の非対称性は、実にさまざまな動物の体に見られる現象である。ところが、こうした顕著な例ですら、なぜ・どのように進化してきたのかはほとんどわかっていない。なかでもカタツムリには、あからさまに非対称な「巻き型」の謎に加えて、「巻き型の左右逆転」という進化の謎がある。種数のうえで多数派である右巻きのカタツムリから、幾度となく独立に進化してきた左巻きのカタツムリ。ところが、突然変異で生まれてきた左巻き個体は右巻き個体とうまく交尾することができないはずである。自然選択説が予測するのは左巻き突然変異個体のすみやかな排除だが、なぜかこの繁殖上の不利を乗り越えて、左巻きのカタツムリは進化してきた。本セミナーでは、この謎を解く鍵を握っていた「右利きのヘビ」と、謎解きの過程で発見されたカタツムリのさまざまな対ヘビ防御機構、とくに自切に関する話題を提供する。

関連する研究者

細 将貴