第59回白眉セミナー : 『中世後期・近世南アジアにおける「感情」の歴史:ヴィシュヌ教を中心に』
- 置田 清和(京都大学白眉センター)
- 2013/05/07 4:00pm
- 白眉センター(iCeMS西館2階 会議室)
- 日本語
要旨
感情とは一体何であろうか。執着や激情といったものは、我々の理性を惑わせ時に混乱をもたらす。従って初期仏教やジャイナ教、ヒンドゥー教といった南アジア起源の多くの宗教的伝統においては、心を制し、世俗的な感情に対し無執着になることが尊ばれる。しかし感情は我々にとって非常に基礎的な存在であり、それから完全に自由になる事は困難である。そこで、ヒンドゥー教の一部であるヴィシュヌ教においては逆に感情を受け入れ、それを信仰の中で生かす事を教えている。このセミナーでは、まず南アジアの宗教を理解する為に最低限必要な基本的概念をいくつか説明する。その後、16世紀にチャイタンニャ師によって創設されたベンガル派ヴィシュヌ教に焦点をあて、この学派が感情やそれに関連した問題をどう扱ったかを見てゆく。