第4回白眉セミナー : 『マウスを用いて記憶のメカニズムを探る』
  • 松尾 直毅(京都大学次世代研究者育成センター)
  • 2010/06/15 4:00pm
  • 次世代研究者育成センター(iCeMS西館2階 会議室)
  • 日本語

要旨

私たちは様々な経験を通じて学習し、それらを記憶として脳内に貯え、必要に応じて引き出すという操作を日常生活でごく当たり前のように行っていますが、これは実に不思議で驚異的な生命機能です。記憶学習の能力は、動物が厳しい自然界で生き延びて行く上で不可欠であるだけではなく、私たちヒトの精神活動(こころ)の基盤とも言うべき重要なもので、そのシステムの破綻は重篤な障害をもたらします。

この記憶学習のメカニズムを解明するために、世界中の多くの研究者が無脊椎動物である線虫やショウジョウバエに始まりサル、ヒトといった霊長類にいたるまで様々な動物を利用して多角的な研究を行っていますが、ここでは小型哺乳類であるマウス(ハツカネズミ)を用いてどのようにして記憶学習のメカニズムを調べることができるのかについて、演者らの研究実例を紹介しながらお話ししたいと思います。特に、動物個体レベルでの記憶学習という実体の極めて捉え難い現象を、いかにして分子(遺伝子)レベルでの現象として結びつけることができるかの研究に焦点を置いて、お話しする予定です。

関連する研究者

松尾 直毅