第37回白眉セミナー : 『タンパク質の凝集は我々にとって敵か味方か?』
- 山崎 正幸(京都大学次世代研究者育成センター)
- 2012/03/27 4:00pm
- 次世代研究者育成センター(iCeMS西館2階 会議室)
- 英語
要旨
我々のカラダに刻まれた遺伝子情報はおそらく選択的に翻訳され、アミノ酸が連結したものとなる。ひも状の構造として生まれたタンパク質は(1)細胞内できちんと折りたたまり(2)存在すべき場所へと輸送され(3)適切に働かなければない。これらタンパク質の成熟は思ったより難しいものであり、細胞は時に起こるタンパク質の異常化を巧みに打ち消すことで、我々の生命活動を正常に保っている。しかし、生命は完璧ではない。その破綻は様々な原因により引き起こされる。その顕著な例が、狂牛病やアルツハイマー病など、タンパク質が凝集する事により引き起こされる疾患である。現代人の健康を考える上で、タンパク質凝集性疾患は癌疾患に匹敵する脅威であり、そのタンパク質毒の形成から疾患発症までのメカニズムを分子構造レベルで解明するのが私の研究アプローチである。その一方で興味深いのは、最近、タンパク質の凝集は必ずしも我々にとって有害ではない、という例が報告され始めたことだ。タンパク質の凝集とは何者であろうか?皆様と多面的に凝集を議論したい。話はおそらく目玉焼きをサイエンスする事から始まる。。。