『これからの社会における仏教の可能性:仏教国ブータンからの提言』
ブータンは、その政策理念「国民総幸福量」(GNH: Gross National Happiness)によって世界中から注目を浴びている。最近になり、日本のメディアもこのGNHという理念について、今後の社会の在り方とも関連付けながら、その重要性を訴えている。ただし、このGNHという概念を正しく理解するためには、その基盤となるブータン仏教思想の理解が必要となる。ブータンについては、政治・経済、人類学的など複数の分野はすでに多くの研究が蓄積しているが、仏教、とりわけその思想的側面に関しては多くの部分が未解明のまま残されている。 この状況を打破すべく、京都大学の熊谷誠慈助教を中心に、王立ブータン研究所と共同で、ブータン仏教研究プロジェクトを立ち上げることになった。本プロジェクトでは、数人のポストドクター研究員と共同で、ブータン仏教の古典文献を解読し、ブータン仏教教義の正確な理解につとめる。その後、幅広い専門の研究者たちと共同研究を行うことで、ブータン仏教の理論がいかに社会に還元可能かを検証していく予定である。 本セミナーでは、本プロジェクトの共同研究者を中心に、ブータン学・仏教学の5人の専門家が、以下の題目で発表を行う。