第32回白眉セミナー : 『哺乳類卵母細胞の核小体』
- 大串 素雅子(京都大学次世代研究者育成センター)
- 2011/12/20 4:00pm
- 次世代研究者育成センター(iCeMS西館2階 会議室)
- 英語
要旨
我々ヒトの体は約200種類の60兆個にもなる細胞から構成されている。個々の細胞内には様々な細胞小器官,構造体が存在し,生命活動の維持に必須の役割を担っている。核小体は細胞核に存在する明瞭な球状構造体であり,タンパク質合成を担うリボソームを構築する場として主に知られている。しかし,核構造を持たない原核生物では核小体構造がなくともリボソーム合成が正常に行われることから構造構築の必要性はリボソーム合成以外のところにあるのではないかと推測される。哺乳類卵母細胞は転写が完全に抑制されており,核に明瞭な核小体構造が存在するもののその内部にリボソームRNA遺伝子が存在しない。そのため,この核小体はリボソーム合成に関わっていないと考えられ,長年その機能は不明であった。しかし,我々はこの卵母細胞核小体が初期胚発生進行に必須であることを明らかにしている。本白眉セミナーでは,これまでの研究の背景を紹介するとともに,現段階までに明らかにされている卵母細胞核小体の機能・成分について紹介し,核小体構造の機能について議論したいと考えている。