『エックス線観測による天の川銀河系中心部の活動史』
私たちの太陽系を含む天の川銀河系の中心領域には太陽の400万倍もの質量を持つ巨大ブラックホール いて座A*(エースター)が鎮座しています。いて座A*は銀河系の力学運動を支配しており、その周囲は多数の星やガスが密集する活動性の高い領域です。しかしながら、いて座A*は他の巨大ブラックホールに比べて、非常に暗いことが問題視されていました。私たちはエックス線天文衛星「すざく衛星」を用いて、いて座A*の周囲を観測したところ、およそ300光年離れた位置にエックス線を強く放射する分子雲を発見しました。私たちは詳細な研究を行ない、この分子雲はいて座A*が300年前に活動的であった頃に放射したエックス線を「こだま」のように反射している、ということを突き止めました。本白眉セミナーでは、エックス線観測について紹介し、いて座A*の活動史について議論する予定です。