第281回白眉セミナー : 「食べる・食べられる」生物種間関係をつなぐ栄養応答の分子基盤

要旨

生物は進化の過程で、捕食・被食や共生といった「食べる・食べられる」関係を通じて栄養を獲得し、多様な適応戦略を発達させてきた。
しかし、生物種ごとに栄養環境への適応の仕方がどのように異なり、その違いがどのような分子基盤によって支えられているのかについては、いまだ十分には明らかになっていない。
私はこの問いに対し、食性の異なるショウジョウバエ近縁種群と、それらに共生する微生物を対象に研究を進めている。
幅広い栄養に適応できる種と、限られた栄養に特化した種の比較から、栄養環境の変化に対する応答のあり方が生物種ごとに異なることが見えてきた。
さらに、野生環境で幼虫の成長を支える共生酵母や細菌に注目し、微生物叢の再構成実験を通じて、宿主―微生物相互作用と発育との関係を解析している。
本セミナーでは、これらの成果を基に、栄養を介して形成される生物種間関係を分子から生態・進化の時間軸へとつなげて捉え、生物の多様性がどのように形づくられてきたのかを考えてみたい。

関連する研究者

服部 佑佳子