第277回白眉セミナー : 三次リンパ組織を標的とした加齢性疾患の包括的治療法の開発

要旨

医学の進歩により多くの人々が65歳を超えて生存する時代を迎えている。その結果、死因の大半を加齢性疾患が占めるようになった。加齢性疾患は複数が併存することが多く、近年これらの疾患を個別に治療するのではなく、加齢性疾患に共通するリスク因子を標的とした治療法の開発が提唱されている。代表的なリスク因子の一つとして注目を集めているのが「免疫老化」である。私はこれまで加齢性疾患である慢性腎臓病と自己免疫疾患の研究を通して、異所性のリンパ組織である「三次リンパ組織」が標的臓器で誘導され、これが炎症を持続・賦活化させることで病態を悪化させることを見出してきた。今回のセミナーでは三次リンパ組織を軸とした加齢性疾患の包括的な新規治療戦略の可能性について、これまでの私の研究を中心に白眉PJで実施する研究内容についても一部触れながら紹介する。

関連する研究者

佐藤 有紀