第27回白眉セミナー : 『東南アジアという「地域」と「地域共同体」を考える』 ~白眉センター/東南アジア研究所共同セミナー~
  • 小泉 順子(京都大学東南アジア研究所),Anthony MILNER(オーストラリア国立大学),Simon CREAK(京都大学次世代研究者育成センター)
  • 2011/10/04 4:00pm
  • 稲盛財団記念館(川端通-近衛通、3階、中会議室 #332)
  • 英語

要旨

冷戦後の時代が「地域の時代」と言われるように、複数国家からなる地理的ユニットとしてのさまざまな地域連合が、政治的・経済的あるいは戦略的利益をもたらす重要な仕組みとして受けとめられるようになっている。東南アジアは固有の歴史ダイナミズムと他のアジア諸国や欧州諸国およびアメリカ合衆国との関係のなかで形成されたが、広大でしかも多様性に富むこの地域はいち早くこうした地域連合を形成した地域でもある。とはいえ、「東南アジア」という概念は歴史的に新しくつくられたものであり、その言葉自体も新しいものである。とすれば、何が東南アジアなる地域を形成しているのか、そしていつ、どのように、そしてなぜそれが一つの地域連合として認識されるようになったのか?東南アジア地域共同体を発展させるためにどのような努力が払われたのか?そしてこれらの問いに対してどのような研究がなされてきたのか?さらには、東南アジアの地域主義を理解するうえで現状の研究ではどういう視点が欠けているのか? セミナーでは、東南アジアの「地域」ならびに地域主義をさまざまな角度から研究する3名の歴史研究者がパネルを組んで、この問題にアプローチする。

  • 小泉 順子 教授:冷戦初期アメリカにおける東南アジア研究と「東南アジア」

東南アジア研究は、主に第二次世界大戦後アメリカにおいて地域研究の一環として創設・展開された。本報告では冷戦初期アメリカにおいて新たに地域研究が構想される過程で「東南アジア」が学術的関心の対象として設定されていく過程をふりかえりたい。

  • Anthony Milner 教授:ASEAN地域主義を研究すること

かつては国民国家の形成という課題に集中していた研究者の関心が、いまや、地域形成という課題に向かおうとしている。しかしながら、アジアにおいては、こうした課題に迫ろうとする研究者が地域に関する専門的な知識にほとんど注意を払っていないという現状がある。

  • Simon Creak 准教授:地域共同体形成としての東南アジア競技大会

1959年に始まった東南アジア半島競技大会、そしてのちに東南アジア競技大会と呼ばれるようになった総合スポーツ大会は、東南アジア地域主義の文化的表象とも言えるイベントである。セミナーでは、その競技大会の歴史を紹介し、あわせて白眉研究者として実施するこの大会に関する研究計画を披露する。

関連する研究者

CREAK Simon(クリーク サイモン)