第221回白眉セミナー : 『計算機の中での宇宙進化の再現に向けて: 宇宙で最初の星から宇宙で最初の銀河へ』
- 杉村 和幸(第12期 理学研究科 特定助教)
- 2022/07/05 4:30pm
- ハイブリッド形式(Zoom および学術研究支援棟地下会議室1&2) 京都大学および白眉センター関係者限定
- 日本語
要旨
我々が存在するこの宇宙はどのように誕生し現在まで進化してきたのかという古くからの問いに対し、現代科学が導き出したのが宇宙は高温高圧の火の玉として誕生し膨張しながら進化したというビッグバン宇宙論で、様々な観測結果との整合性から今では標準理論としての地位を確立しています。しかし、膨張する宇宙の中で、我々の知る多種多様な天体がどのように生まれ、どのようにして宇宙が現在の姿をなすに至ったかは依然として謎のままです。まず宇宙で最初の星、次いで宇宙で最初の銀河が誕生し、その後、我々の天の川銀河のような現在の銀河が作られたと大枠では考えられていますが、その内実を明らかにすることは天文学の大きな課題となっています。
ビッグバン後にどのように天体形成が進んだかを調べる上で、計算機を用いたシミュレーションは、観測で探るのが困難な初期の宇宙を探るための有力な手段となります。本講演では、まず、私がコード開発から手がけた大規模流体シミュレーションによって、ビッグバン後に宇宙で最初の星が生まれるまでの過程を再現した結果について紹介します。また、白眉期間中には、さらに時代を進めて宇宙で最初の銀河が生まれるまでのシミュレーションに取り組む予定であり、講演の後半にその計画の現状と展望についても少しお話しようと思います。