第210回白眉セミナー : 『文理融合·一以貫之:二十世紀初頭のJulius Wiesnerによるクチャ、コータン出土の古紙分析』
  • 慶 昭蓉(第12期 人文科学研究所 特定准教授)
  • 2022/01/25 4:30pm
  • ハイブリッド形式(Zoom および地下会議室1&2)京都大学および白眉センター関係者限定
  • 英語

要旨

このセミナーでは、Julius Wiesner(1838-1916年、1898-1899年にウィーン大学学長)による古代の紙の分析への貢献と、彼の理論的関心について紹介する。特に、A. F. R. HoernleやM. A. Stein、その他の著名な研究者と行った学際的研究として、今日の中国・新疆ウイグル自治区のクチャやコータン周辺の様々な古代遺跡から出土した、古い紙片の調査における彼の先駆的な業績に焦点を当てる。私の調査によると、彼が鑑定したものには、有名な大英図書館所蔵のユダヤ・ペルシア語による書簡断片Or. 8212/166に加え、漢語やコータン語、その他の古代語で書かれたコータン出土のものが含まれている。19世紀後半のリベラル・アーツにおけるWiesnerの優れた教育は自明であるが、一般的に、彼の業績には、常にドイツ・オーストリアの学界が培った、緻密且つ実証主義的な精神が反映されている。彼は、植物生理学の巨匠の一人であるだけでなく、現代の学問領域としての中国における造紙史研究の創始者でもある。
また、このテーマを補う意味で、2017年冬に、江南和幸教授と共に、大谷探検隊が新疆ウイグル自治区で収集した古代の紙片の中に、コットン繊維の痕跡を発見した経緯についても説明する。この発見は、20世紀への変わり目に、Wiesnerと彼の同僚であるJoseph Karabacek(1845-1918年、1899-1916年にウィーン帝国図書館長)によって提唱されたcotton paperについての理論を打破することとなった。


オープニング・トーク

『すばる超広視野主焦点カメラと宇宙線シャワーとの出会い』

  • 発表者:藤井 俊博 (第9期 理学研究科 特定助教)
  • 使用言語:英語

関連する研究者

慶 昭蓉