第20回白眉セミナー : 『寄生者が改変する生態系:渓畔生態系における実証』
  • 佐藤 拓哉(京都大学次世代研究者育成センター)
  • 2011/05/10 4:00pm
  • 次世代研究者育成センター(iCeMS西館2階 会議室)
  • 日本語

要旨

寄生虫は自然界に普遍的に存在しています。その種数はしばしば、地球上の全生物種の半数以上を占めるといわれ、生物量としても相当な量である可能性が見出されつつあります。彼らは生態系の中でどのような役割を担っているのでしょうか?この素朴な疑問に答えることは、自然科学研究として興味深いだけでなく、隠れた生物多様性の生態学的意義を考えさせるという点で、応用的な分野にも重要な意味をもちます。

今回のセミナーでは、これまで見過ごされることの多かった寄生者が、生態系の中でどのような役割を果たしうるかを簡単に紹介します。その上で、演者が発見した「寄生者が駆動する森林-河川生態系間のエネルギー流」についての最近の研究と白眉プロジェクトにおける今後の研究計画についてお話する予定です。

複雑な生活史をもつ寄生者が、複雑な生態系の中で果たす役割について深く理解するためには、ゲノム科学や複雑系科学など、私にはまだなじみの薄い研究分野との交流が不可欠だと考えています。様々な分野の研究者が集う白眉セミナーの機会を活かして、皆さんといろいろな議論ができると幸いです。

関連する研究者

佐藤 拓哉