第147回白眉セミナー : 『脳内のネットワークを異なるスケール間でつなぐために 』
- 下野 昌宣(白眉センター・大学院医学研究科)
- 2018/05/15 4:30pm
- 白眉センター(学術研究支援棟1階)
- 日本語 (大学院生を含めた学内の研究者が主な対象の公開セミナー)
- オープン
要旨
脳は非常に巧妙にデザインされた複雑なネットワークで構成された生体組織である。近年、神経科学者は、新たに開発された手法を用いて、様々なスケールでの脳神経系のアーキテクチャーのデータを取得できる様になってきている。その様な、いわゆるビックデータの蓄積を進めるのと共に、様々なスケールでの構造ネットワークが活動伝搬を拘束するスキームの背景にあるルール(法則)を抜き出す事がより要求される様になってきている。本発表での主題は、脳内ネットワークの様々なスケールでのアーキテクチャーを、いかに数理的に理解するのかという事である。また主に三つの話題から成る。第一は、マクロな空間スケールでの全脳にひろがるネットワークのアーキテクチャーにまつわる話題である(Shimono, 2013; Shimono, Hatano, 2018) 。第二は、局所の神経回路網において、効率的な情報の流れを保持している仕組みに関する話題である(Shimono, Beggs, 2014; Nigam et al., 2016)。そして最後の話題は、これらの異なるスケールでの知見を連結するために、我々が行っている試みの一部をご紹介する。過去の研究や背景知識に関して、http://shimono-u.net/ もご参照ください。