3月15日13時に第15期公募情報を公開いたしました。
4月1日13時より応募者登録サイトへの登録が可能です。
Information on the 15th call for applications was opened at 13:00 on 15 March.
Applicants can register on the registration website from 1 April at 13:00.
『「口伝の華房」―膨大な教説をどのように編集するか』
アバヤーカラグプタ(Abhayākaragupta,11-12th C.E.)はナーランダ・ヴィクラマシーラ両寺の学頭を務め,インド仏教が終焉する(ヴィクラマシーラ寺破壊,A.D.1193)直前,彼らが数百年にわたって集めたいわば「知の結晶」をインドからヒマラヤ世界へと伝えた主導的人物として語られる。アバヤーカラには曼荼羅儀軌についての「三部作(三環)」と二つの密教聖典への注釈がある。彼はインド仏教における膨大な口伝や教説を整理・統合し,こうした儀礼マニュアルあるいは注釈というかたちへと纏めた。アバヤーカラはさらに自身の著作をも含むおよそ百点以上の文献をサンスクリットからチベット語へと翻訳している。アバヤーカラグプタの膨大な著作のうち,白眉プロジェクトにおいて中心となる研究対象は梵蔵バイリンガル写本が最近発見されたばかりの百科事典的注釈書『アームナーヤマンジャリー(口伝の華房)』Āmnāyamañjarīである。本セミナーでは,密教の注釈文献や儀礼マニュアルが一体どのような構造をもっているのかその全体像を俯瞰したい。次にハンブルグ大学によって進められているインド・チベット語彙集成プロジェクトITLR(Indo-Tibetan Lexical Resource)について報告し,全体を締めくくりたい。