第144回白眉セミナー : 『冷却原子系を用いた量子シミュレーション-量子多体系からブラックホールまで-』
  • 中島秀太(白眉センター/大学院理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻)
  • 2018/02/20 4:30pm
  • 白眉センター(学術研究支援棟1階)
  • 日本語 (大学院生を含めた学内の研究者が主な対象の公開セミナー)

要旨

レーザー冷却技術は、量子縮退するほどの極低温領域まで原子気体を冷却することを可能にし、新しい「人工量子物質」とも言うべき量子系を生み出した。講演者は、この冷却原子系の大きな自由度と高度な制御性を生かし、従来の物質系では実現・観測が困難であった種々の量子現象を実現する、また数値計算が困難な量子系について物理的にシミュレートすること(量子シミュレーション)に興味を持ち研究を行っている。本講演の前半ではまずレーザー冷却技術とそれにより実現される冷却原子系、および冷却原子系を用いた量子シミュレーションについて、講演者がこれまで行ってきた研究をまじえつつ説明する。後半では、近年、量子情報・量子カオスとの関連も分かってきた「ブラックホール情報パラドックス」と呼ばれる問題に対して、現在、講演者が立ち上げようとしている冷却原子系を用いたアプローチについて紹介し、今後の課題と展望について議論したい。

関連する研究者

中島 秀太