第142回白眉セミナー : 『幾何学と応用数学の融合-幾何学的な最適化の数理-』
  • 佐藤寛之(白眉センター・情報学研究科)
  • 2018/01/16 4:30pm
  • 白眉センター(学術研究支援棟1階)
  • 日本語 (大学院生を含めた学内の研究者が主な対象の公開セミナー)

要旨

講演者は応用数学の一分野である数理最適化を幾何学的な観点から研究している.本講演では,まず具体的な最適化問題の例をいくつか取り上げるとともに,コンピュータでの求解の様子を実演することによって,最適化のもつ応用的な側面を紹介する.ところで,このようにコンピュータを用いて問題解決を図るには,そのための手順を指示しなければならないし,その手順の妥当性を保証する必要もある.したがって,問題解決のための計算の手順,すなわちアルゴリズムの数学的な導出・解析が重要である.このような問題意識を確認した後に制約付き最適化問題を取り上げ,制約条件を満たす変数の集合がリーマン多様体と呼ばれる幾何学的対象である場合には,その問題をリーマン多様体上の無制約最適化問題と見なすことが可能であること,およびそうすることの利点を説明する.また,大規模な問題に有効である幾何学的な共役勾配法や確率的勾配降下法など,講演者の最近の研究するとともに,今後の展望を述べる.多くの分野において応用される最適化が盤石な数理的基礎の上に成り立っているということをお伝えしたい.

関連する研究者

佐藤 寛之