第140回白眉セミナー : 『国際法の地図に7つの海と7大陸を書きこもう―非欧州は常に国際法を受容する側であったか?』
- 中井愛子(白眉センター・法学研究科)
- 2017/12/19 4:30pm
- 白眉センター(学術研究支援棟1階)
- 日本語 (大学院生を含めた学内の研究者が主な対象の公開セミナー)
要旨
近代国際法は国際社会の基礎である主権国家体系が確立した16-17世紀の欧州に生まれた。 その後、国際社会の拡大にともなってその適用範囲が非欧州世界にも拡大され今日の国際法となった。 国際法の歴史は通常このように説明されます。 ですが、このことは、欧州諸国間の国際法がそのまま普遍化したことを意味しません。 19世紀の国際社会の拡大の過程で、国際法の側も相応の変化を受容したからです。 それにもかかわらず、国際法学はこの事実を大変長い間見過ごしてきました。 正確にいうと、過去の一時期には気付いていたのに忘れてしまいました。 なぜ、我が国の国際法学は、一方では当時の国際法における非欧州諸国の排除を声高に批判しながら、他方で非欧州諸国の貢献を無視し、欧州中心主義を自ら再生産してきたのでしょうか。 本セミナーでは、講演者が研究してきた非欧州世界からみた国際法の歴史を振り返りつつ、この問題を一緒に考えてみたいと思います。