第130回白眉セミナー : 『半導体スピントロニクスの現状と課題』
  • 安藤 裕一郎(京都大学白眉センター)
  • 2017/06/06 4:30pm
  • 白眉センター(学術研究支援棟1階)
  • 日本語(大学院生を含めた学内の研究者が主な対象の公開セミナー)

要旨

現代社会の発展は電子機器の発展に依るといっても過言ではない. その電子機器の主要部分が半導体デバイスである. パソコンや携帯電話は何億,何十億というトランジスタで構成されており,論理演算,情報記憶, ディスプレイ表示,通信等の機能を実現している. 既に十分な便利さを手に入れたが,解決すべき課題は山積しており,半導体デバイスの更なる発展が望まれている. しかし現在,トランジスタの高性能化を支えてきた黄金ルールである“スケーリング則”が破綻しつつあり, 半導体デバイスの永続的発展に向けた技術は隘路に遭遇している. このスケーリング則を指導原理として更なる発展を図る研究者と, 全く新しい指導原理を探索する研究者が,各々アプローチで次の一手を模索している. 電子の電荷情報ではなくスピン情報を利用したデバイスの実現を目指す“スピントロニクス”は後者にあたる. スピン機能をトランジスタに付加し,トランジスタの動作原理自体を高機能化することが検討されている. 講演では半導体デバイスについて,専門外の方にも理解できるよう基礎的な部分から説明する. 更に半導体スピントロニクスの現状と課題についても説明する.

関連する研究者

安藤 裕一郎