第123回白眉セミナー : 『出土文書から過去を復元する』
- 岩尾一史(京都大学白眉センター)
- 2017/01/10 4:30pm
- 白眉センター(学術研究支援棟1階)
- 日本語(大学院生を含めた学内の研究者が主な対象の公開セミナー)
要旨
19世紀末から20世紀初め、現在の新疆ウイグル自治区や甘粛省にて、様々な言語で書 かれた大量の古文書が発見されました。私はこれらの古文書を利用して主に古代期のチベット(7-10世紀)や周辺の歴史を研究しています。古代チベットの支配地域は現在よりも大きく、文書が発見された地域はちょうどその辺境地域にあたるので、当時の文書史料が残されたのです。一点一点の出土文書が伝える事実は限定されていて、 たいていの場合発見された地域のミクロな日常しか伝えません。しかしそういったデータを集積していくと、よりマクロな社会様相が浮かび上がってくるのです。本講演では、出土文書史料の研究方法にはじまり、これまでの研究内容、そして白眉プロジェクトの課題である外交研究に至るまでの道のりを紹介します。
* 岩尾さんの発表前に、Silvia Croydonさん(3期)に離職者講演をしていただきます。