第114回白眉セミナー : 『近世インドの港町にみる邂逅の諸相』
- 和田 郁子 岡山大学大学院 社会文化科学研究科(第5期白眉研究者)
- 2016/06/21 4:30pm
- 白眉センター(学術研究支援棟1階)
- 日本語 (大学院生を含めた学内の研究者が主な対象の公開セミナー)
要旨
今日、タミルナードゥ州の州都でもあるチェンナイは、インド有数の大都市のひとつである。この町の近代都市としての始まりは、イギリス東インド会社がその活動拠点たる商館を築くべく、寒村にすぎなかったこの地の租借権を1639年に現地の領主から得たことに遡る。マドラスと呼ばれるようになったこの土地で、イギリス東インド会社は要塞兼商館を建造する一方、内外から多様な人々を受け入れて新たな町をつくろうとした。本報告では、この初期のマドラスの様々な境界領域において生じた人と人の邂逅、とくに男女関係に注目する。当時のマドラスの「イギリス人」は圧倒的に男性が多数を占め、現地で出会った女性との結婚はしばしば「異文化接触」の場として認識されてきた。今回は、そのような従来の捉え方を新たな視点から再考する。
『最新鋭のX線天文衛星「ひとみ」で天の川銀河中心の活動性に迫る』
- 講演者:信川 正順 奈良教育大学 教育学部(第2期白眉研究者)
- 日時:2016年6月21日(火曜日)17時15分〜18時00分
- 場所:白眉センター(学術研究支援棟1階)
- 使用言語:日本語 (大学院生を含めた学内の研究者が主な対象の公開セミナー)
要旨
我々の住む(天の川)銀河系の中心部は多数の恒星・星間ガスが密集する領域である。そのような場所では星の生成や消滅が繰り返されており、高エネルギー現象が高頻度で起こっている。最大の特徴は、太陽の400万倍の質量をもつ巨大ブラックホールいて座A*(エースター)の存在である。今は活動性が極めて低い。しかし、これまでの我々の観測結果などから、少なくとも約100年前までは現在よりも100万倍以上の明るさであったことがわかっている。いて座A*の活動性がなぜ変化したのかはわかっていない。
今年の2月、日本は最新鋭のX線天文衛星「ひとみ」を打ち上げた。「ひとみ」は従来のX線天文衛星に比べて、10倍以上の感度を持つ観測装置マイクロカロリメータなどを搭載する。これをもって、銀河中心の活動性の起源を解明するために、私は白眉着任時(2011年4月)より開発に携わり、ついに打ち上げを達成した。
本講演では、「ひとみ」の開発と、「ひとみ」によって得られた初期成果について報告したい。