第113回白眉セミナー : 『キノコを食べる植物の特殊な繁殖戦略』
- 末次 健司 神戸大学理学研究科(第6期白眉研究者)
- 2016/05/17 10:30am
- 白眉センター(学術研究支援棟1階)
- 日本語 (大学院生を含めた学内の研究者が主な対象の公開セミナー)
要旨
私は、子どもの頃から生物が好きで目の前にいる生物について、なぜそのような形をしていて、どうしてそこで育っているのだろうと、考えていました。現在は、植物でありながら光合成をやめた植物を主な研究対象としています。
しかし光合成をやめた植物の研究は困難を極めます。光合成をやめた植物は、葉を展開する必要がないので、開花、結実期以外は地上に姿を現しません。地上に姿を現す期間が1年のうち2週間程度のものも存在します。また彼らは小型で地上に現れていたとしても発見困難です。そのため、私は、山中で地を這いつくばりながら何日も過ごすといったこともしばしばです。そうして野外観察を行う過程で、光合成をやめた植物は、送粉共生や種子散布共生といった他の生物との共生関係を変化させ「驚くべき生活」をしていることがわかってきました。その生活の一端をご紹介したいと思います。
また研究のスタート地点が「生物が好き」という理由なので、光合成をやめた植物に限らず、野外観察で得られたアイデアをもとに、自然界の不思議をひとつでも多く明らかにしたいと考えています。講演でも最近開始した光合成をやめた植物とは関係ない研究にも少し触れることができればと思います。
『酸素の過多と枯渇は災いの元?』
- 講演者:原田 浩 京都大学 放射線生物研究センター ゲノム動態研究部門(第6期白眉研究者)
- 日時:2016年5月17日(火曜日)17時15分〜18時00分
- 場所:白眉センター(学術研究支援棟1階)
- 使用言語:日本語 (大学院生を含めた学内の研究者が主な対象の公開セミナー)
要旨
ヒトは酸素が無ければ生命を維持できないが、過剰な酸素は生体にとって害となる。同様に、我々の体内に僅かに存在する低酸素微小環境もまた生命の維持にとって重要であるが、逆に悪性腫瘍(がん)内部の低酸素環境はがん細胞の悪性形質と治療抵抗性を導くことが指摘されている。本セミナーでは、生体内の有酸素環境と低酸素環境のもつ良悪両面を概説し、生体が酸素の有無を如何に活用しているのかを議論したい。