第11回白眉セミナー : 『超伝導の概要と最近の話題』
- 青山 和司(京都大学次世代研究者育成センター)
- 2010/11/02 4:00pm
- 次世代研究者育成センター(iCeMS西館2階 会議室)
- 日本語
要旨
超伝導現象は、1911年のOnnesによる発見以来、理論、実験の両側面から精力的に研究されてきました。電流を流すと有限の電気抵抗が生じる金属状態とは異なり、超伝導状態では低温で電気抵抗がゼロとなります。つまり、電流はロスなく流れます。エネルギーの効率利用という観点に立てば、ゼロ抵抗を示す超伝導体は有用な物質であり、将来多方面での実用化が期待されています。
超伝導現象は、物質を構成する粒子(電子や原子)の波動性、統計性といった低温で顕著になる量子力学的効果に起因しています。理論研究は、1957年にBardeen, Cooper, Schriefferによって提唱されたBCS理論が基礎となっており、超伝導状態は、Fermi統計に従う2電子から成る対があたかもBose統計に従う1粒子のように振る舞い、この電子対が最低エネルギー状態に集団で凝縮した状態であると理解されています。ただし、電子対がなぜ構成されるのか、どのような要因で壊れるのかなどその物理的性質は、物質の特性や外的な要素に依存します。
本発表では、粒子の統計性とその性質、超伝導の基礎について解説した後、発表者の研究テーマである磁場中の超伝導状態について最近の話題を紹介する予定です。