第109回白眉セミナー : 『意味の系譜:科学の統一と不統一を巡る論争』
- 丸山 善宏 (京都大学白眉センター)
- 2016/02/16 4:30pm
- 白眉センター(学術研究支援棟1階)
- 日本語 (大学院生を含めた学内の研究者が対象のセミナー)
要旨
人類は文明化のある時点で意味という概念を手に入れた。意味という概念の誕生が我々の内的生活と外的生活の両面においてこの世界全体を変え、そうして我々の在り方をより厄介でしかし同時によりニュアンスに富んだものとしたことにはほとんど疑いが無い。意味というような概念無しに今日我々は、万事の意味が問われる学術研究の議論は言わずもがな、日常の無意味なおしゃべりさえ遂行できないと思われる。翻って、科学の意味とは何に存するのだろうか?現代科学哲学の黎明期にウィーン学団などの実証主義哲学者は科学の理想上のUnityの中に意味を見出した。そういった古き良き科学哲学者とは全く対照的にスタンフォード学派など現代の哲学者はまさにその科学の実際上のDisunityによって意味を主張するようになった。本講演は、何が意味を構成するのかについてのこういった齟齬の根底にある種々の意味概念の解明を通じて、特に科学の意味、言語の意味、人生の意味、そして意味それ自体を含む、意味というものの本性を巡る幾つかの哲学論争への優しい導きを与えることをその眼目とする。(事前知識不要)