第107回白眉セミナー : 『生体内を模倣したマイクロデバイス:臓器チップ』
- 鳥澤 勇介 (京都大学白眉センター)
- 2016/01/19 4:30pm
- 白眉センター(iCeMS西館2階 会議室)
- 英語 (大学院生を含めた学内の研究者が主な対象の公開セミナー)
要旨
工学技術であるマイクロエンジニアリング技術を細胞・組織培養に応用することで、からだの外で臓器の一部の機能を再現可能となりつつある。これはOrgan-on-a-chipと呼ばれるマイクロデバイスであり、生体内の環境を再構築することで、臓器レベルの細胞機能の再現を目指す技術である。このような細胞環境の再構築には微小流体デバイスが有効なツールとなっている。微小流体デバイスは、髪の毛ほどの小さな管の中で微小量の流体の運動を制御するシステムであり、生体内に近い溶液環境および力学的環境を再現可能とする。このようなマイクロデバイスは、ヒトの細胞を用いることで、ヒトの応答を評価可能であり、各臓器の機能を模倣したチップを組み合わせることで、ヒト体内の挙動のモデル化を可能とする。これにより、例えば薬の効果の予測といった応用が期待でき、動物実験に替わる新たな評価手法としての期待が高まっている。本発表では、Organ-on-a-chipの開発に関して、主に微小流体デバイス技術に焦点を当てて紹介し、骨髄機能の再現に向けた取り組みを紹介する。
なお、セミナー冒頭に、第一期の塩尻かおりさんより留学当時のご経験についてご紹介頂く予定です。