第106回白眉セミナー : 『石窟寺院に書かれた文字が語るもの』
- 荻原 裕敏 (京都大学白眉センター)
- 2015/12/15 4:30pm
- 白眉センター(iCeMS西館2階 会議室)
- 日本語 (大学院生を含めた学内の研究者が対象のセミナー)
要旨
インドで勃興した仏教は中央アジアを経て中国に伝わり、漢訳された仏典が朝鮮や日本などに伝えられた。仏教が東アジアへと伝えられていた当時、インドと中国の間に位置する中央アジア、特に現在の中国・新疆ウイグル自治区に存在していた一部の国家では、政治的・宗教的理由からインドの言語を書写するための二種類の文字、カローシュティー文字とブラーフミー文字が受容され、後にブラーフミー文字が彼等の言語を記すために利用された。一部の仏僧はインドの文字と言語を学習し、インドより齎された仏典を読み、自らの言語へと翻訳して行った。文字で自らの言語を書き記す手段を得た人々は、紙だけではなく、石窟寺院の壁にも文字を記す。石窟寺院に書かれたこれらの文字が何を語るのか。本セミナーでは、5-11世紀頃の新疆ウイグル自治区クチャ地域で石窟寺院に書かれた文字から何を知る事ができるのかを紹介する。
今回はセミナーの冒頭に、4期の花田政範さんに最近の留学における研究活動(カリフォルニアでの共同研究)について紹介していただく予定です。
なお、本セミナーでは発表資料の著作権の関係上、発表の撮影や録音は禁止とさせていただきます。